ガス壊疽の症状

ガス壊疽は、傷から菌が入り込むと、時に急速に数時間で発症することもあります。
  
典型的な症状としては、創部に強烈な痛みが生じ、赤く腫れあがることが多いです。それから創部が壊死を起こして茶色っぽく、あるいは黒っぽく変色し、ガスが溜って「握雪感」と呼ばれる、雪を握ったり踏みしめた時のような独特の感触が現れます。患部は腐敗により、異臭を放ちます。
  
ガス壊疽は手術や受傷後に起こることが多いですが、適切で衛生的な環境下で速やかに消毒すれば発症しないことがおおいといわれます。ガス壊疽をいったん引き起こせば治療を施してもしばしば死に至ります。

ガス壊疽の原因

ガス壊疽は、クロストリジウムによって引き起こされるクロストリジウム性のガス壊疽と、大腸菌などほかの菌により引き起こされる非クロストリジウム性のガス壊疽に分けられます。これらは創部に侵入してガスを産生し、壊死した組織内で毒素を作ることによって深刻なダメージを及ぼします。いったんガス壊疽にかかると筋肉の壊死及び融解は急速に斑状に拡がり、浮腫とガスが軟部組織に広がると上部を覆う皮膚は緊満するようになります。

ガス壊疽の治療法

クロストリジウム属感染症を予防するワクチンは存在しないため、予防は傷を十分に洗浄すること、傷から異物や壊死した組織を取り除くこと、腹部手術の術前~術後にかけて抗生物質を静脈注射、点滴をすることなどが挙げられます。
  
手術や筋肉が損傷した際は迅速に検査しなければなりません。検査は身体初見と画像検査によって行われ、嫌気性細菌による気泡ガスの発生が確認されればガス壊疽と診断されます。  
  
ガス壊疽は急速に進行する疾患なので、疑いがあれば直ちに治療を開始します。クロストリジウムによるガス壊疽では高圧酸素療法がよくききます。また、創部の切開排膿や、ペニシリンなどの抗生物質の大量投与も行われます。