混合性結合組織病とは
混合性結合組織病は膠原病に分類される全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎の臨床症状が混在し、抗U1-RNP抗体が陽性となる疾患のことです。以前は予後良好とされていましたが、肺高血圧症を合併した場合には予後不良であることが知られています。
混合性結合組織病の症状
混合性結合組織病は20~50歳代の女性に好発し、レイノー現象(手指、足先の細動脈が発作性に収縮することで、皮膚の色が正常から白色、紫色、赤色と順に変化する現象のこと)、手指や手背の腫脹、肺高血圧症の症状がみられます。その他の症状としては顔面紅斑、多発性筋炎痛、発熱、手指の皮膚硬化、労作時の息切れ、肺線維症、筋炎、筋力低下といった全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎のような症状が少しずつ混在した病態がみられます。
血液検査では白血球数が減少し、赤沈は亢進、CRP陽性でCKの上昇もみられます。また、抗U1-RNP抗体が単独で強陽性となることが一番の特徴であり混合性結合組織病の定義でもあります。
混合性結合組織病の原因
混合性結合組織病の原因は現在もよく分かっていません。混合性結合組織病はアメリカのSharpという人が1972年に提唱した疾患で、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎の臨床症状が混在し、抗U1-RNP抗体(U1-RNAと9種のタンパクで構成され、核内でのmRNAスプライシング機能を持つU1-RNPに対する抗体)が強陽性になる疾患と定義されました。しかし、我が国では頻度が高い疾患であるものの欧米では比較的頻度が少ないので現在でもオーバーラップ症候群の亜型ではないかという議論がなされています。我が国では女性に圧倒的に多く、発症年齢は20~50歳代が中心(30歳代にピークがある)であることが知られており、独立した一つの疾患として診断基準が設けられています。
混合性結合組織病の治療法
治療はそれぞれの症状に合わせた形で行われます。レイノー現象や手指の腫脹、関節炎に対しては、末梢循環改善薬や非ステロイド系抗炎症薬が用いられ、内臓病変に対してはステロイドであるプレドニゾロンが使われます。肺高血圧症は混合性結合組織病の予後因子として最も重要で、プレドニゾロンやプロスタグランジン系血管拡張薬、ボセンタン、シルデナフィルが治療薬として用いられます。頻度の高い特殊な合併症としてイブプロフェンなどの消炎鎮痛剤が無菌性髄膜炎を誘発することがあり注意が必要です。
治療の中心となるのはステロイドで多くの症状は改善します。肺高血圧症に対しても早期には大量ステロイドが効く場合があります。ステロイド抵抗性の場合には、それぞれの症状に応じて適した薬剤を組み合わせて治療します。
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