脂肪肉腫の症状

脂肪肉腫の症状としては、急に大きくなった痛みの感じない瘤です。悪性度が高ければ痛みを伴いますが、それ以外の場合は無痛なのが一般的です。脂肪肉腫は全体の約3分の1が腹腔、後腹膜腔に出現する傾向があります。また、瘤の大きさが5センチ以上、体の深部に出現すること、硬いこと、癒着があれば悪性とみなされます。
  
発生した場所によって症状も異なり、膀胱付近に肉腫が発生すれば頻尿になり、腸付近に発生すれば便秘に、足に発生すればしびれやむくみなどが出ます。
  
脂肪肉腫が進行していくと他の臓器に転移することもあり、肺転移が最も多いと言われていますが、粘液型脂肪肉腫の場合は肺ではなく肝臓への転移が多いと言われています。

脂肪肉腫の原因

脂肪肉腫の発生原因はまだ解明されておらず、遺伝性があるということだけは分かっている状態です。粘液型脂肪肉腫では染色体の異常により、2つの遺伝子が一部分のみくっつき新たな遺伝子を生み出すキメラ遺伝子が腫瘍の原因遺伝子と考えられています。しかし、なぜキメラ遺伝子が腫瘍を生み出すのかについては未だ解明されていません。
  
またその他の脂肪肉腫については遺伝子配列の異常は認められず解明されていませんが、染色体が何らかの働きで異常を起こし、細胞の遺伝子情報が変化することが脂肪肉腫発生の原因ではないかと考えられています。

脂肪肉腫の治療法

脂肪肉腫の治療方法は手術による摘出が一般的です。ただし、手術をする際には再発予防のために正常な組織も一部分一緒に切除するという広範切開術が原則となりますが、患者への体の負担を考慮して最近では縮小手術や患肢温存術をする医療機関も増えてきています。切除で摘出しきれなかった場合には放射線治療を行う場合もあります。日本では放射線治療より化学療法が選択される場合が多いそうです。
  
また悪性度の高い肉腫の場合は手術による摘出プラス抗がん剤治療が施されます。いずれも治療が終了した後も、再発防止のため経過観察を継続する必要があります。