アメーバ赤痢とは
アメーバ赤痢とは、赤痢アメーバという原虫によって大腸に感染する感染症ですが、肝臓に膿瘍を形成することもあります。赤痢アメーバの嚢子が付着した飲食物を食べることで感染し、世界で年間約5千万人の感染者、4〜10万人の死亡者が出ていると推定される感染症です。主に嚢子を排出する無症候性の感染者が感染源となります。日本でも感染例が多く、年間700〜800人、死亡例は数例です。ほとんどの場合が男性同性愛者または知的障害者と言われています。
アメーバ赤痢の症状
アメーバ赤痢の症状は無症状の場合が多く、感染しても5~10%の人にしか症状が現れないのが特徴です。ほとんどが病原体を摂取して2~4週間後に粘血便、しぶり腹、断続的な下痢、不快感、鼓腸、排便時の下腹部痛、ガスがたまる痙攣性の腹痛などで、イチゴゼリー状の粘血便は典型的な例です。重症化すると腸穿孔、腹膜炎、肝臓や肺、脳などへの膿瘍形成、衰弱死などがあります。肝膿瘍が見られた場合には38度以上の高熱、右脇腹の痛み、嘔吐、吐き気、肝臓の腫れ、体重減少、寝汗、全身倦怠感などが見られます。膿瘍が破裂すると胸膜や心外膜、皮膚、肺などにも膿瘍が形成される場合があります。また大腸炎症状を起こす人の5%は腸管外へ病原体がばらまかれることもあるので注意が必要です。
アメーバ赤痢の原因
アメーバ赤痢の原因は、赤痢アメーバ原虫に汚染された飲食物を口から摂取することが原因で感染します。男性の同性愛者によく見られる疾患で、性行為においてリミング(肛門と口が直接接触)することによって感染します。熱帯地域への海外渡航者、知的障害施設に入所している人、風俗で働く女性にも見られる疾患です。知らない内にアメーバ赤痢の嚢子を外に出してしまう無症候性感染者がいるので注意が必要です。海外では手を洗う習慣のない地域も存在し、そういう人達が調理した食べ物を食べることによって感染します。
また、アメーバ赤痢は数週間生き残ることもあるので、人糞を肥料とした野菜など最初から付着しているものを知らない内に摂取し感染することもあります。上下水道など日本のように整備されていない地域では、飲み水も人糞で汚染されている場合があるので、生野菜、生魚、生肉、フルーツ、加熱されていない食べ物などは汚染されている場合があります。
アメーバ赤痢の治療法
アメーバ赤痢の予防方法としては、清潔にすることです。原因物質を取り除くために、手洗いはしっかりすること、海外渡航先などでは飲食物は必ず加熱すること、カットなど人の手が加わっているものは避けること、水道水ではなくペットボトルや缶などに入っている飲料水を飲むこと、肛門を使う性行為をする際にはコンドームを使用することです。治療方法としては、通院治療による薬剤治療が一般的です。主にメトロニダゾールという薬を7~10日服用します。無症候性の場合はその後に経口ジロキサニドフロエートを10日投与します。治療後2~3ヶ月後経過観察をして糞便中に何も検知されなければ完治ということになります。症状が強い場合には点滴をする必要があります。
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