神経線維腫とは
神経線維腫は、遺伝性の病気で、抹消神経から発生するといわれている良性腫瘍の一つです。発症すると皮膚や神経など多くの器官に異常が発生します。また、レックリングハウンゼン病とも呼ばれています。神経線維腫には、I型とII型があり、I型は、腫瘍や色素斑などの皮膚にでることが多く、II型では、聴神経の腫瘍を中心とした皮膚症状の少ない型となります。
神経線維腫の症状
神経線維腫の症状は人によって大きく違い、軽度から重度まで様々です。神経線維腫の主な症状は、皮膚や皮膚より下部でできる良性腫瘍であり、目に見えるものとして、カフェオレ斑(ミルクコーヒーに似た褐色調)の色素斑や、瘤などです。カフェオレ斑は新生児においても見られ、生後すぐに症状はもっておりますが、腫瘍ができるのは個人差があります。II型は聴神経に頻発するように、耳だけでなく目や骨の異常がみられる場合もあります。軽度な場合には、1つの瘤のみの場合もあり、治療もほとんど必要ない場合と、全身に多発するような重度であれば他の臓器を破壊し命の危険にさらされる場合もあります。また、神経線維腫は良性腫瘍ですが、悪性腫瘍化する場合もあります。
神経線維腫の原因
神経線維腫は、遺伝子の異常によって発症するといわれています。神経線維腫I型の場合は人間の第17番染色体にあるNF-1に異常が生じて、このNF-1が作るタンパク質が産出されなくなることが原因となされています。このNF-1作るタンパク質は、細胞を無制限に増殖させるラスと呼ばれる一種のがん遺伝子を中和しているので、タンパク質が産出されないため細胞が異常増殖し腫瘍となります。神経線維腫II型の場合には第27番染色体に同様の異常があり、同様にがん遺伝子を抑制するタンパク質が産出されないため、発症します。
神経線維腫は、親から子に遺伝することが知られています。しかし、家系的にこの遺伝子異常をもっていない場合にも、何らかしらの刺激によって発症することもあります。
神経線維腫の治療法
現在の所、神経線維腫の根本的に完治させる治療法は確立されていません。よって対処的な療法となります。神経線維腫の場合は、日常生活に支障をきたす症状がない場合があり、そういった場合には経過観察で良い場合があります。また、強い痛みを伴う場合などは腫瘍の摘出手術を行いますが、腫瘍が神経から発生しているにも関わらず、摘出しても神経に問題を来すことはありません。しかし、神経線維腫の腫瘍は良性ですが、再発の可能性及び、悪性腫瘍へと転化する場合がありますので、慎重に経過観察を行うことが必要です。
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