滑膜肉腫とは
滑膜肉腫は、大腿部や膝の周辺などに発生しやすい悪性腫瘍です。関節を覆う滑膜組織と似ていることからこの名前で呼ばれていますが、実際には滑膜肉腫と滑膜組織には関係はありません。発症時期としては、青年期の10〜40代ごろによく見られますが、発症例自体が少なく、数十万人に1人程度です。
滑膜肉腫の症状
滑膜肉腫の症状は、ほかの多くの肉腫と同様です。自覚症状としては急激な速度で大きくなる瘤の存在が認められます。しかし、滑膜肉腫は成長速度は様々であり、数年間同じ大きさのまま変わらないケースもあります。また、基本的には痛みはありませんが、ごく稀に痛みを伴う人もいます。発生部位は基本的に下肢で、特に大腿部や膝周辺が多いです。病状が進行すると、肺や骨、リンパ節などに転移することにがあります。転移してから気づく場合も多いです。悪性度の極めて高い肉腫であり、5年生存率は30%程度です。
滑膜肉腫の原因
滑膜肉腫の原因は、染色体異常だと考えられています。染色体の一部が切れて、それが別の部分に接続する「染色体転座」と呼ばれる異常が起きます。こうしてできた融合遺伝子は身体にさまざまな異常をもたらすことになります。第18番染色体とX染色体の一部が入れ替わることで細胞の機能が正常に働かなくなり、滑膜肉腫が引き起こされると考えられています。しかしながら、非常に発症例の少ない肉腫であるため、まだ解明されていない部分も少なくありません。
滑膜肉腫の治療法
滑膜肉腫の治療方法は、腫瘍の外科的な切除が基本です。悪性度の高い肉腫ですから、一刻も早く身体から取り除くことが大切です。かつては手足ごと切除する方法が主流でしたが、現在では手足を温存しながら患部周辺のみを切除する方法をとることのほうが増えてきています。また、転移しやすい肉腫でもあるため、切除後も抗がん薬治療を続けながら経過を見る必要があります。かなり時間が経ってから再発や転移が発見されることもあります。
- このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
- 専門家の皆様へ:病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください