ダリエー病の症状

ダリエー病の症状は、かさぶたの付いた暗褐色の丘疹(角化性丘疹)がたくさんでき、ひどくなると丘疹同士が集合し融合して大きくなったり、水疱になることもあります。
  
発汗で湿潤しやすい夏場に悪化しやすく、じめじめした湿潤状態では悪臭を放つこともあります。主に腋の下や陰部、胸、背中、顔面といった、脂漏部や間擦部に発症しやすく、口の中や食道など粘膜部にできるケースもあります。
また、精神不安定や、てんかんといった精神症状もみられることもあり、細菌・ウイルス感染による合併症を起こすことがあります。
  
発症するのは子供から青年期にかけての若年層に比較的多いですが、発症頻度は5万~10万人に1人と稀な病気です。角化性丘疹がたくさんできる症状であるため、毛包性角化症とも呼ばれます。

ダリエー病の原因

ダリエー病は常染色体優性遺伝性疾患で、皮膚の表面の角質の生成をつかさどる遺伝子の変異が起こり、その結果として角質が正常に作られなくなります。  
   
皮膚細胞内の小胞体へカルシウムイオンを輸送するATPアーゼ酵素がうまく生成されなくなり、カルシウム濃度の異常によって細胞間結合と表皮細胞分化に異常をきたし、皮膚症状が表れます。
遺伝性の病気であるため家族内にも発生する可能性が高いです。しかし、遺伝子の突然変異でも発症することが稀にあります。
  
ダリエー病を診断するには、SERCA遺伝子を調べることで確定診断できます。また、合併症がある時は脳波も検査する必要があります。

ダリエー病の治療法

治療には飲み薬としてビタミンA成分であるレチノイドカプセルや、塗り薬として、サリチル酸ワセリンおよび尿素軟膏などの角質溶解剤を塗布します。重症の場合にはレチノイドの作用を高めるエトレチナートの投与などを行います。また細菌感染による合併症のリスクがあるため、症状に応じて適切な抗生剤を内服することもあります。
  
また、ダリエー病を悪化させないための予防には、常に乾燥した清潔な状態にすることを心がけることが大切です。殺菌作用のある石鹸の使用や、高温多湿を避けるように生活改善も必要で、とくに夏場は汗や日光でも悪化したり悪臭を発することがあるので注意が必要です。