側頭動脈炎とは
側頭動脈炎とは、側頭動脈の慢性炎症です。大動脈や、他の動脈にも発症し、肉芽腫性が確認されるため巨細胞性動脈炎とも呼称されます。頭痛、咀嚼時の顎痛、視覚障害などの眼症状、発熱、倦怠などの症状が現れます。
側頭動脈炎の症状
側頭動脈炎の全身症状としては、発熱、倦怠感などがあげられます。多くのケースで拍動性・片側性の側頭部痛や後頭部痛を来し、徐々に痛みを増すのが特徴です。その際、側頭部では拡張した浅側頭動脈や腫脹に触れることができ、圧痛が認められます。また、咀嚼時の咬筋・側頭筋痛(顎の跛行)はこの疾患の典型症状とされています。眼症状としては、一過性黒内障や複視、視野暗点等の視力障害が起こり、失明に至ることもあります。
また、リウマチ性多発筋痛症などを合併し、筋肉や関節痛を訴えるケースも見られます。大動脈や分枝にも障害を来した場合は、大動脈解離や大動脈瘤、脳梗塞やめまいなども発症します。
側頭動脈炎の原因
側頭動脈炎の詳細な原因は明らかにされていません。感冒と類似した症状が現れるため、感染症や環境を危険因子する報告もありますが、現段階では明確になっていません。遺伝性の疾患ではないとされ、60歳以上の高齢者に好発するします。動脈炎は側頭部や頭蓋、頸動脈で多く見られますが、大動脈で発症することもあります。
血管の中膜に肉芽腫性の炎症が生じるため、弾性組織を破壊と血管内腔の狭窄や閉塞を起こし、虚血性の視神経障害などの疾患を起こす原因になります。早期の治療開始によって、失明への進行を防止することができます。
側頭動脈炎の治療法
側頭動脈炎は早期発見、早期治療により重篤な障害への進行を予防可能です。この疾患が疑われた場合は生検による鑑別を待つことなくステロイド療法を開始し、視力障害までの進行を予防します。多くの場合は免疫抑制作用のあるプレドニゾンを使用したステロイド療法が有効で、数年以内の寛解が期待できます。予後は良好ですが、再発予防のためステロイドの用量漸減は慎重に行われます。一部の患者は早期離脱が可能ですが、多くの場合は長期にわたり維持が必要です。
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