ジアルジア症の症状

ジアルジア症の主な臨床症状は下痢や衰弱感、体重減少に腹痛、悪心などがあげられます。
  
中でも下痢は特に頻発して起こる場合があり、一日に20回以上の排便を催す場合があります。その際、下痢は非血性で水様、または泥状便であることが特徴です。ただし、必ずしも下痢が頻発するとは限らず、感染者によっては嘔吐や吐き気が主症状となる可能性もあります。
  
感染者における感受性は普遍的とされていますが、成人よりも小児の方が高い感受性を示すとされています。しかし、感染者によっては無症候性キャリアとなる可能性も高く、7日から10日程度の潜伏期間をすぎても症状が現れないこともありえます。また、その反対に感染者の持病によっては病態が悪化や再発する恐れがあります。

ジアルジア症の原因

ジアルジア症は鞭毛虫の一種であるランブル鞭毛虫の感染が原因で発症する感染症であると同時に寄生虫病でもあります。これに一度感染すると人を含む哺乳類の消化管で増殖を開始し、人であれば下痢性胃腸炎を引き起こすようになります。
  
主な感染経路は糞口経路であるとされ、感染者の排泄物より飛散した病原体が感染源とされています。そのため、感染したにもかかわらず潜伏期間経過後も症状が現れない無症候性キャリアの感染者による排便は、感染源として大変な脅威となります。
  
また、人と人の接触や汚染された食品・飲料水を介した広範囲におよぶ集団感染も発生する場合があります。特に、飲料水が汚染された場合、通常の浄水処理では完全な除去が困難であり、塩素消毒にも抵抗を示すため感染の拡大は必至となります。

ジアルジア症の治療法

ジアルジア症の原因であるランブル鞭毛虫は湿度の高い環境では高い耐久性を発揮し、水中でも数ヶ月間は生存します。そして、マイナス20℃という寒冷環境でも10時間は生存を維持します。故に、感染の予防策として手洗い・うがいは重要であり、また排泄後の感染者も手洗い・うがいを徹底する必要があります。
  
また、水中や寒冷に強い抵抗力を持つ一方でランブル鞭毛虫は熱処置に対する抵抗力が低く、60℃で数分加熱すると死滅することが確認されています。そのため、汚染の疑いがある飲料水においては、濾過した後に煮沸等を行なって熱処理すると予防効果が発揮します。