うっ血性肝障害(うっ血肝)とは
心臓が正常に機能しないことで肝臓に血液が滞留して障害が出ることをうっ血肝といいます。心筋梗塞などで右心不全になると、心臓から十分に血液が送り出せず、肝臓に血液が留まることで肝臓が腫大します。また血液は身体の各部位にとって栄養となる酸素を運搬する役割も持っているため、血液が滞ることで肝臓が酸素不足となり組織に障害を受けます。
うっ血性肝障害の症状
うっ血性肝障害となっても沈黙の臓器と呼ばれるだけあってすぐに肝臓からの症状は現れません。どちらかといえば心不全の症状が主です。酸素を運ぶ血液の流れが悪いため呼吸困難が生じたり、心臓に戻ることのできない体内の水分が血管内に留まれなくなって外に出た場合に生じる浮腫みなどが出現します。そのまま病院にかからずにいると肝臓の細胞は栄養不足となりどんどん破壊されてしまいます。破壊されることで手足・目が黄ばむ黄疸、右上腹部の不快感、腹水などが出現します。さらに破壊が進むことで肝不全・肝硬変といった重篤な状態となります。肝不全になると見当識の喪失や興奮、不随意な四肢の動き、せん妄、さらに症状が進むと意識障害が出現することもあります。
うっ血性肝障害の原因
肝臓は心臓から送り出される血液の1/4もの量が供給されているため、心臓の機能が低下することによって容易にダメージを受けます。また解剖学的に見ても肝臓と心臓の位置は近くにあるため影響を受けやすくなっています。これらのことが心不全によって引き起こされるうっ血性肝障害の原因です。また肝臓にはたんぱく質の合成、エネルギー貯蔵、胆汁の生成・分泌、解毒・代謝作用といった機能があります。うっ血性肝障害によって肝臓に栄養が供給されずに破壊されることによってこれらの機能が正常に働かなくなり、黄疸が出現したり、重篤な肝不全や肝硬変へと移行すると肝性脳症などといった症状まで出現します。その場合には治療をしなれば死に至ります。
うっ血肝の治療法
うっ血性肝障害の原因は心不全にあるため、心不全の予防が第一です。心不全になりやすい原因として、喫煙、高コレステロール、糖尿病、高血圧、狭心症や心筋梗塞の家族暦、ストレス、肥満などがあげられます。
塩分制限を心がける、動物性脂肪の摂取を控える、適正体重を維持するなど、生活を見直すことが重要です。すでに高血圧や糖尿病の診断を受けている方はそれ以上症状が進行しないように心掛けます。動悸がする、息苦しい、浮腫みが出てきて疲れやすくなったなどの症状が出てきた際には心不全となっている可能性が高いので病院で診てもらう必要があります。
治療は、うっ血性肝障害の原因となる心疾患に対する治療を行うことです。安静、食事の減塩指導、薬物療法は強心薬、利尿薬が使用されます
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