症状

肛門神経症は自身のガスや便が漏れて他人に臭いと思われている、などの常識では考えられない訴えを自分自身が信じ込んでしまうのが特徴的な症状です。実際には発せられていない自身からの臭いによって周囲の人々に嫌がられているのではないかという妄想が生じます。うつ病と合併してしまい、引きこもりや自殺に至ることもあります。
   
また、他人のしぐさに過敏に反応してしまい、対人恐怖症につながることもあります。他人の動作に過剰反応してしまうことで、生活の質が著しく低下し、社会生活から逃避行動を起こす場合もあります。
  
自身から発せられる臭いがくさいと思い込んでしまうことで、人が密集する場所、エレベーター、教室、バス、電車などの環境、あるいは人との会話などで臭いをかぎとられてしまう状況に恐怖を抱きます。

原因

肛門神経症の詳細な原因は解明されていません。他人に身体的なことで嫌なことを言われたことがきっかけで発症する場合があります。周囲の人から口臭や体臭等を指摘されることで、本来であれば些細な行動も自身から発せられた臭いが原因であると信じ込んでしまうために肛門神経症を発症してしまう場合があります。
  
体臭は少なからず誰にでもあるものですが、これを誇大解釈してしまい、少しの臭いも許せなくなります。几帳面、潔癖、完全志向が強い人、または敏感で繊細な性格で自分の意見を主張できない人ほど、この症状に陥りやすい傾向にあります。
   
性格的要因とは別に家庭環境や学校などの成長過程での環境的な要因も影響してきます。個人によって原因や要因が異なるため、十分なカウンセリングを行いながら治療をしていく必要があります。

治療法

肛門神経症という症状があることを知り、心身の衛生を心がけ、バランスのよい食事と睡眠を十分にとることで予防することができます。精神的な面が原因であるため、自分自身の肛門から発せられる臭いが原因で他人に迷惑をかけているわけではないことを自覚することが大切です。
  
生物である以上、日常生活のなかで多少の臭いは当然であるという許容的な心を持つことも大切です。実際の自分の臭いと、自身が思い悩んでいる臭いの食い違いを修正し、多少の欠点を受け流す心も必要です。これは、強迫神経症、醜形恐怖症などの神経症全般に共通することです。