シアン中毒とは
シアン中毒とは、青酸化合物またはシアン化合物と呼ばれる化合物が、口、皮膚、気道から体の中に入ることにより、細胞が呼吸することを妨げ、細胞が活動できなくなることで起こる中毒です。急激に症状が出現し、脳に一番影響を与えるとされ、迅速な処置が必要となります。シアン中毒になった患者の息は、アーモンドの臭いがすると言われています。
シアン中毒の症状
シアン中毒の症状は、シアン化合物が体内に入るとすぐに現れる場合が多いようです。遅くても数分以内に症状が現れるとされています。軽症の場合、嘔吐、まめい、頭痛、頻脈、呼吸促進、代謝性アシドーシス、顔面紅潮等が生じるようです。シアン化合物が大量に体内に入り、重症化した場合、呼吸困難、血圧の低下、肺水腫、心房細動、意識が無くなる、けいれん等が生じ、呼吸が停止したり、心肺停止となることもありえます。
肺水腫とは、血液の液体成分が肺の気管支や肺胞に染み出し、溜まった状態を指します。溜まった液体成分により呼吸障害が発生し、呼吸不全になります。心房細動は、頻脈性不整脈とも呼ばれ、高齢になればなる程発生頻度が高くなると言われています。
シアン中毒の原因
シアン中毒は、シアン化合物が体内に入ることが原因とされています。化学薬品の材料、メッキや冶金に使用されているシアン化カリウム、シアン化水素、シアン化ナトリウム等のシアン化合物が体の中に入ると、チトクローム酸化酵素の鉄と細胞内で結合し、酵素の働きを阻害し、細胞が酸素を使用して働くという作用をしなくなります。糖が代謝される際に、酸素が使われない為、乳酸がたまっていき血液が酸性になる代謝性アシドーシスになり、意識障害、呼吸障害を促進させると言われています。急激に体中の臓器が損なわれ、脳のダメージは最も深刻であるとされています。
食べ物の中にも、青酸配糖体が含まれている青梅・ぎんなん等があり、小さな子が青梅・ぎんなんを食べることにより、シアン中毒になることもありえます。
シアン中毒の治療法
治療は全身管理と解毒剤の使用がメインです。血圧・心拍数・不整脈の有無・呼吸のチェックを行いながら酸素投与を行います。気管内挿管し人工呼吸器に装着しますが術者がシアン化合物を吸ってしまわないように慎重に行われます。けいれんには抗痙攣薬、低血圧には昇圧剤などが用いられます。
シアン化合物を排泄させる有効な手段はないですが活性炭を投与する場合があります。
解毒剤としては亜硝酸塩やヒドロキソコバラミンというものを用います。
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