精索捻転症とは
精索捻転症とは腹部と精巣をつなげる精索と呼ばれるひも状の部分がねじれる病気のことを指します。主に新生児と思春期の二つの時期に起こりやすいと考えられていますが、20代から30代の男性にも発症する可能性があり、治療方法は発症から6時間以内に手術でねじれを解除する必要があります。
精索捻転症の症状
精索捻転症を発症すると、主に精巣から下腹部にかけての痛みが急激に現れます。発熱といった症状は基本的に現れませんが、まれに吐き気を催すことがあります。そして、症状が進行するにつれて陰嚢部は徐々に膨らんでいき、触ると酷い激痛に襲われるようになります。また、精索には精巣に出入りする血管と精液の通り路の精管が入っていますので、精索がねじれると精巣に血液を送ることができなくなります。精巣から下腹部にかけての痛みはこれが原因で引き起こされ、放置しておくと精巣は壊死してしまう恐れがあります。一説によると激痛を感じてから6時間以内が適切な処置を受ける目安とされ、6時間を経過した後は高い確率で精巣が壊死すると考えられています。
精索捻転症の原因
精索捻転症は主に精巣が陰嚢のなかで十分に固定されていないことが原因で発症するとされています。事実、精索捻転症を多く発症する新生児期と思春期の男子の精巣は固定されきれておらず、結果、陰嚢のなかで回転してしまうのです。特に思春期の男子の精巣は第二次性徴に伴い重量が増える一方、陰嚢内の固定組織は不十分なため発症する確率が高いとされています。また、精巣から下腹部にかけて激痛が走ったとしても、ごく稀に激痛がひいていく場合があります。これは、一度ねじれた精索が自然に元の状態に戻ったために起こることで、少なくとも受診する緊急性は緩和します。けれど、一度ねじれてしまった以上、再発する恐れがあるので受診する必要があります。
精索捻転症の治療法
精索捻転症は成長期における男性特有の病気であるため、明確な予防法は確立されていないのが現状です。そのため、あくまでも発症後の治療ないし手術が基本的な対応策となります。精索捻転症の手術には主に二種類の方法があります。陰嚢部にメスを入れて、ねじれてしまった精索を元に戻した後、二度とねじれないよう固定する精巣固定術と発症から長時間経過した結果、壊死してしまった精巣の摘除する精巣摘除術の二種類です。症状の進行度によって、二種類のうち、どちらかが行なわれることになります。麻酔下で外から手でねじれを解除してから手術することもあります。手でねじれが解除できたとしても手術が必要なことには変わりありません。
重要なことは、ねじれを元に戻す前者の場合は、ねじれていない方の精巣の固定も同時に行なわれます。これは、片方が一度ねじれると残されたもう片方のほうも解剖学的異常があることが多く精索もねじれる可能性があることから行なわれる手術で、ある意味予防策といえます。
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