デング出血熱とは
デング出血熱とはネッタイシマカやヒトスジマシカによって媒介されるデングウイルスの感染症です。デングウイルス自体には1型から4型までの全4種類存在しますが、どのウイルスに感染しても同様の症状が現れるため、特定することは困難です。デング出血熱はデングウイルスによる感染症の一つであり、同様に発症するデング熱やデングショック症候群と比較して、もっとも重症型の症状として知られています。主に熱帯・亜熱帯地域での感染が多く確認されていますが、最近は日本での感染が確認されています。
デング出血熱の症状
デング出血熱は、デングウイルスに感染すると、基本的にはデング熱と同様の症状が現れます。感染後2〜10日経過すると高熱を発症し、頭痛、腰痛、腹痛、嘔吐を起こします。しかし、デング熱からデング出血熱へと状態が変化した場合、初期症状である高熱がおさまると、不安や興奮状態、発汗といった症状が現れます。そして、血液中の液体成分が血管からもれ出し、出血するようになります。出血の形態は比較的に軽い点状出血や注射部位からの出血、鼻出血や吐血など様々で、適切な治療を行なわれないと死亡する可能性があります。
また、重症度によって全4段階に分けられており、ショック状態を示す3、4段階になるとデングショック症候群と呼称されます。
デング出血熱の原因
デング出血熱の発症原因であるデングウイルスは、熱帯・亜熱帯地域である東南アジア、南アジア、中南米で広く分布しているウイルスです。主に現地に生息する蚊を媒介にして拡散し、人間を吸血することで感染します。前述の地域に直接渡航しなかったとしても、貨物機や輸入物と一緒にデングウイルスを持つ蚊が国内に侵入する可能性があることから、感染しないとは言い切れず、第二次世界大戦終戦後間もなく、デングウイルスが戦地から持ち込まれた結果、西日本を中心に流行した経緯があります。現在でも少数ながら感染例が報告され、国内での感染を完全に防止することは事実上困難です。
デング出血熱の治療法
デングウイルスに有効なワクチンは現在も開発に成功しておらず、依然として臨床試験段階で留まっています。特に小児を対象とするワクチンは臨床試験の段階に入ってもいないため、デング出血熱の発症ないし感染を予防するにはデングウイルスを持つ蚊に刺されないよう注意する必要があります。そのため、デングウイルスが分布する地域へ渡航する際は、デングウイルスの媒介となる現地の蚊・ネッタイシマカの習性を理解する必要があります。ネッタイシマカは昼間を中心に活動しますので、昼間の外出は極力控えたり、虫除けを行います。媒介蚊の代表格であるもう一種のネッタイシマカにも同様の対策が必要です。
治療は、補液を行い、それぞれ起こった症状に対応していきます。
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