鎖陰の症状

鎖陰によって引き起こされる症状は、第二次性徴を迎えて身体的に成熟した段階に至っても月経が見られない無月経となります。経血を排出する経路が閉鎖されているために膣内部に経血が滞留して血腫を生じ、子宮、卵管と女性性器の深部方向へとひろがっていきます。
月経の周期に合わせて腹部や腰部に張りを覚え、生理期間に相当する1週間程度にわたって下腹部に激痛を感じるようになります。このような張りや下腹部痛は月を追って増悪して、吐き気や嘔吐を繰り返し催すような状態を呈します。膣内に生じた血腫が肥大化してくると、膀胱や尿管、直腸なども圧迫するようになり、排尿や排便に伴う痛みを感じることや、排尿や排便に支障をきたすことがあります。

鎖陰の原因

鎖陰は受精して胎児へと成長していく過程で、膣板に空洞を生じる段階において起こる何らかの障害が原因となるとされています。生まれつき女性性器の皮膚組織が正常に作られなかったことによって膣の内部が閉塞した状態となっておこります。その他にも処女膜が通常に比べて分厚く頑丈に作られたこと場合にも生じるとされています。
鎖陰は受精卵の成長過程で生じる先天的な原因による場合が多くみられるものとなっています。しかし先天的なものだけではなく、膣にポリープができたり、傷ができたことによって、あるいはそれに伴う炎症などによって、当該部位の皮膚組織が過剰に増殖して分厚くなって、膣内部を閉塞させてしまうという後天的な原因によっても起こる場合があります。

鎖陰の治療法

鎖陰そのものを予防する方策は今のところありません。
先天的な原因が多いことから、生殖医療や遺伝などの医療領域がその担当すべき診療科目となるものの、受精卵の成長過程で生じる不具合については、医療という分野の力が及んでいません。
先天的なものであっても後天的なものであっても閉塞している部位を外科的手術によって切開することで治療を行うことは可能です。場合によっては経血の滞留によって生じた血腫を除去するだけで済むこともあります。また手術後は定期的な性交渉や膣への医療器具の挿入を行うことによって、膣が再度閉塞をきたさないように拡張した状態を維持することが可能です。