肺好酸球性肉芽腫症とは
肺好酸球性肉芽腫症とは、主に細気管支の周囲に白血球の一種である好酸球とランゲルハンス細胞様の組織球が浸潤し、増殖する病気です。この病気で浸潤する細胞がランゲルハンス細胞と似た特徴があるため、肺ランゲルハンス細胞組織球症とも呼ばれています。喫煙者に多く、禁煙で症状改善することが多いようです。
肺好酸球性肉芽腫症の症状
肺好酸球性肉芽腫症の主な症状は、乾性咳嗽、喀痰、呼吸困難、胸膜性胸痛です。約10~15%の人で無症状の場合もあり、他の理由で撮影した胸部レントゲン写真にて偶然発見されることがあります。レントゲン画像では、上中肺野に小結節影や奇妙な形の小嚢胞状影を認めます。
合併症として突発性に自然気胸を起こすことがあり、この場合胸痛が起こります。また尿崩症を併発することが稀にあり、多飲や多尿を認めます。肺以外にも病変が起こることがあり、骨に嚢胞を生じた場合は骨痛を認め、他に皮膚に発疹が現われる場合もあります。
予後は比較的良好で、無症状の場合は禁煙により自然寛解することもありますが、進行し重篤な呼吸不全を起こしたり肺がんなどを併発した場合には予後不良となります。
肺好酸球性肉芽腫症の原因
肺好酸球性肉芽腫症は、何らかの原因に対する肉芽腫形成性免疫反応です。しかし、なぜランゲルハンス細胞様組織球が増殖するのかはっきりとした原因は分かっていません。20歳~40歳代の男性に多く見られ、発症者の90%以上は喫煙者であること、また禁煙により症状が軽快することからタバコの煙の中の何らかの物質に免疫反応を起こすものと考えられます。
喫煙による煙の刺激で肺胞マクロファージがサイトカイン及び成長因子を分泌、その分泌液にランゲルハンス細胞が反応して浸潤・増加が起こります。
また、樹枝状細胞からランゲルハンス細胞への転換促進、肺繊維芽細胞の芽球化、神経内分泌細胞の増生などが肺肉芽腫形成性免疫反応を起こすとも言われています。
肺好酸球性肉芽腫症の治療法
肺好酸球性肉芽腫症の予防は喫煙をしないこと、また喫煙をしない人も受動喫煙に十分注意する必要があります。肺好酸球性肉芽腫症は無症状である場合も多々あるため、定期的な検診を受けることで早期に発見し早期治療を行なうことが大切です。
肺好酸球性肉芽腫症を発症した場合、喫煙者は禁煙することが一番大切なことで、禁煙だけで自然寛解することもあります。
自然寛解しない場合でも、禁煙にて病状の改善および進行を食い止め、肺がんなど悪性疾患の合併を防ぐことができます。
また、原因がはっきりしていないこともあり、排気ガスや大気汚染などにも注意する必要があります。汚れた空気を吸い込まないよう、マスクなどの着用も予防につながります。
症状が進行性の場合は、免疫抑制薬やステロイドを用いることもありますが、有効性は確立されていないのが現状です。
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