がん性胸膜炎とは
がん性胸膜炎は肺がんや乳がんなど他のがんから胸膜にがんが拡大して胸水がたまる病気です。ほとんどは肺がんによるもので、肺の表面を覆っている胸膜を破り、胸壁と肺の間にある胸腔と呼ばれる部位にがん細胞が侵入するものです。がん性胸膜炎と呼び名がついていますが、細菌による炎症ではないため正確には胸膜炎ではありません。
がん性胸膜炎の症状
肺を包んでいる胸膜が炎症を起こしているため、水分が染み出したり、水分を吸収できなくなり、水がたまってしまうことで胸の痛みや呼吸困難、せきなどの症状が現れてきます。健康な人でも胸水がもれることはありますが、症状が出るほどにたまってしまうことはありません。痰に血液が混じったり、体重減少などの症状も見られます。みぞおちや背中がひどく痛んだり、激しく咳き込んだり、すぐに息が切れてしまう場合があります。
がん性胸膜炎のために胸膜癒着術を行うと、一時的に微熱や眠気が生じ、ろれつが回らないなどといった症状がみられる場合があります。重要な副作用としては呼吸不全、吐き気、肺炎、胸痛などがあげられています。
がん性胸膜炎の原因
胸水がたまることでがん性胸膜炎が発症しますが、肺炎や左心不全などの炎症が原因でも起こります。びまん性中皮腫と転移性胸膜腫瘍からがん性胸膜炎を発症することが知られていますが、びまん性の場合には初期には無症状で胸の痛み、咳、しびれなどがひどくなってから疾患に気づくことが多くなっています。
転移性の場合には呼吸困難がひどく救急で運ばれるほど重篤なものが多くみられます。胸の痛みも激しく、胸水が急激に溜まることで息ができなくなってしまうのです。
肺がんが原因になることが一番多いですが、胃がんや乳がん、卵巣がん、膵がんなども原因となります。喫煙者は肺がんのリスクが高くなりますし、喫煙者でなくても中年以降の女性に多くみられることも知られています。
がん性胸膜炎の治療法
胸痛や咳、呼吸困難などの症状があった場合には専門医を受診して治療をしてもらうことが必要です。胸水が少ない場合には無症状の場合も多いうえ、風邪などの初期症状と似ており、他の病気で診察を受けている場合などには気付かない場合が多くあります。レントゲン撮影をして胸水が少しでもたまっているようであれば、すぐに原因を調べる検査が必要になります。急速に水が増える場合には水を抜く必要があります。喫煙やアルコールなどを控えて栄養状態をよくすることも必要になります。
がん性胸膜炎は他の部位からのがんが広がることで発症することが多い病気のため、予防するのが難しく水を抜くために胸腔ドレナージなどの治療を適切に行うことが大切です。
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