腎血管性高血圧症とは
腎臓には血圧が下がるとホルモンが分泌され血圧を上げる役割があります。腎臓の血管がなんらかの影響で狭窄していると必要な血液量が流入せず、腎臓が「血圧が低い」と勘違いをします。その結果、実際は血圧が低くはないのに腎臓からホルモンの指令が出てしまい高血圧となってしまいます。これを腎血管性高血圧症といいます。治療は主に降圧剤の内服、狭窄した血管を広げる手術(経皮経管的腎動脈形成術)、狭窄した血管に別の血管を繋ぎ血流を確保する手術(バイパス術)などがあります。
腎血管性高血圧症の症状
高血圧の症状には頭痛、めまい、動機、息切れなどがありますが、特徴的な自覚症状はありません。判断基準として、家族暦に高血圧のない35歳以下の高血圧を持った若い方、血圧の薬を飲んでいるのに下がりにくい方、中年以降に突然高血圧になった方、中年以降の高血圧患者で原因がわからず腎機能が悪くなっている方、腎臓の大きさに左右差がある方、右心不全を繰り返している方、などは腎血管性高血圧症を疑います。
さらに採血検査でホルモン値をチェックし超音波検査、大動脈造影、選択的腎動脈造影、カプトプリル試験などから必要な項目を選択し検査することで診断します。血圧が高い状態が続いている場合には病院にかかることが望ましいでしょう。
腎血管性高血圧症の原因
腎血管性高血圧症の原因として、比較的若い人は繊維筋性異型症(約40%)によるもの、中高年は粥状動脈硬化(約40%)によるものが主です。そのほか若い女性に多い大動脈炎症候群や先天性奇形、腎動脈瘤などがあります。繊維筋性異型症は細胞の壁を作っている繊維筋がうまく作られないために動脈の壁が弱くなってしまい、血管の内側に瘤などができて血液の流れが悪くなる病気です。原因はわかっていません。
粥状動脈硬化症は年齢とともに硬くなってきた動脈の内側にコレステロールなどがたまることで血管そのものを狭くなっている状態です。喫煙や肥満などの生活習慣に影響しやすいです。
大動脈炎症候群は太い血管に炎症が起こるので血管内が狭くなる病気です。こちらも原因が不明です。
腎血管性高血圧症の治療法
繊維筋性異型症や大動脈炎症候群などの原因が不明な疾患によって引き起こされているものは現在対処法がありませんが、中高年に多い粥状動脈硬化の予防はあります。粥状動脈硬化は日常生活習慣が起因となっていることが多いです。動物性脂肪の多い高カロリー食をとりすぎることによって引き起こされる高脂血症、塩分摂取過多で引き起こされやすい高血圧、がんの原因にもなり得る喫煙、肥満につながる運動不足、暴飲暴食によって引き起こされやすい糖尿病などが原因として挙げられます。
特に高血糖・高脂血症は血管に直接負担をかけるため動脈硬化を引き起こしやすくなります。そのために早寝・早起きを心がけ睡眠をたっぷりとる、決まった時間にバランスのとれた食事をとる、適度な運動をするなどの規則正しい生活が一番の腎血管性高血圧症予防となります。
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