選択性緘黙症とは
選択性緘黙症とは、全児童の0.2%程が発症する精神的な疾患で、発症は2歳から5歳にかけての時期に見られることが多くあります。 選択性緘黙症を発症した児童は、言語の発達過程において特に問題が見られないにも関わらず、ある特定の場面においてのみ全く言葉を発することができなくなってしまうという特徴があります。
選択性緘黙症の症状
選択性緘黙症の症状は、人によって様々です。代表的なものとしては、話す能力があるにも関わらず一定の場面においてのみ全く言葉を話さなくなる、行動や動作が緩慢になる、見知らぬ人と関わることを極端に避ける、自己主張をすることを怖がる、などが挙げられます。症状が見られ始める時期は大概が幼児期ですが、発症していることに周囲が気が付くのは幼稚園や小学校に入学した後であるということが多いようです。また、選択性緘黙症が中学校入学時以降まで持続するような場合には、たいてい成人まで回復は見込めないという特徴もあります。
学校では全く言葉を発さなくても家では普通に家族とコミュニケーションを取っている場合が多く、人見知りや引っ込み思案といった性格との区別がつきにくいことも多いようですが、選択性緘黙症の場合は特定の場面で見られる症状が非常に強く、長期にわたって持続する物であるという点から区別が可能です。
選択性緘黙症の原因
選択性緘黙症の原因は様々なものが想定されていますが、一般的に有力とされているのは、脳の扁桃体という領域に対する過剰な刺激によって、先天的に内向的な性格が備わっており、人とかかわるのに強い不安を感じてしまうことが要因であるという説です。母親から離れることなどへの恐怖心や、社会的な活動における経験不足、周囲の命令に対する抵抗などといったことも要因として挙げられます。いずれにしても、児童が社交に対する強い不安感や恐怖心を抱いているという点が特徴です。また、選択性緘黙症を発症した児童の多くは言語障害や会話障害を併発していることが多く、自分が人と同じように話すことができないという不安が要因であるという考え方もあります。外国での暮らしが長く日本語での会話に不自由を感じている児童に選択性緘黙症の症状が見られるのも同じ理由からです。
選択性緘黙症の治療法
選択性緘黙症は精神性の疾患で、手術などといった物理的な対応を取ることはできません。話したくても言葉を発することの出来ないという児童の不安に周りの人が寄り添い、緊張や不安感を取り除こうという取り組みをすることが大切です。もし、選択性緘黙症の児童に無理やり会話を強要させるようなことがあれば、さらなる不安感をあおり、引きこもりや対人恐怖症といった二次障害を引き起こすことも起こりうるため注意が必要です。
話さない状態のままでも周囲が自分の存在を受け入れ、自己を認めてくれるという経験をし、安心感を得ることが結果として予防や症状の改善につながります。
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