肺性脳症の症状

肺性脳症による症状としては、心拍数が増加し、発汗や血圧の上昇、さらに肌が赤くなるといった状態が起きます。また、頭痛が起こったり、注意力が散漫になる傾向があります。さらに病状が悪化すると、意識を失ったり各種の意識障害を引き起こします。手足や顔の筋肉が震えるといった身体的影響も生じます。
また、脳の酸素不足の状態が長く続いた場合には、低酸素の状態を脱したとしても、その後の知能の低下や意識障害、さらに不随意運動といった病状が改善されずに残る可能性があります。このような症状を抑えて回復を促すためには、早急に肺の機能を回復させて体内に酸素を供給し、血液中の二酸化酸素濃度を下げ脳の機能改善を図ることが必要です。

肺性脳症の原因

肺性脳症が起きる原因には、肺の疾患やガス中毒、あるいは薬物中毒があります。肺の疾患では、肺線維症や肺気腫などが起こりやすい要因として挙げられます。また、心不全や気道がふさがるなどの要因により、肺でのガス交換が行われなくなって起こる可能性もあります。その他、事故などによりガス中毒を引き起こしたり、あるいは薬物中毒が要因となって酸素不足が起こるといったこともあります。
血液中に増えた二酸化炭素が脳に運ばれると、脳の血管が拡張し、脳内の血液量が増えて、脳浮腫を引き起こします。脳は常に大量の酸素を消費するため、酸素不足に陥ってしまうと、脳組織の損傷が著しく進みます。

肺性脳症の治療法

肺性脳症の予防のための方法には、正常な呼吸を回復させることが必要です。呼吸ができなくなっている原因を取り除き、血液中の二酸化炭素濃度を下げることが必要です。また、呼吸不全を起こしている場合には、人工呼吸器によって酸素を供給することもあります。
緊急的な措置の他にも、根本原因となっている肺疾患や薬物などの影響に対して、改善の措置を行わなければなりません。肺性脳症による脳へのダメージは非常に大きいため、もし酸素不足に陥った場合には、早急に必要な手段を取って血中の酸素濃度を正常の状態に戻すことが大切です。