内耳奇形とは
内耳は、妊娠5ヶ月の段階でほぼ完全な形に形成しますが、様々な原因が絡むことで内耳形成がうまくいかないことがあります。これを内耳奇形といって内耳の発育が欠如したミッシェル型、蝸牛の回転数が少ないため前庭や半規管が形成不全を起こしているモンディーニ型、蝸牛・球形嚢の形成不全のシャイベ型などがあります。他にアレクサンダー型、ビング・シーベンマン型などがあります。
内耳奇形の症状
先天性疾患であることがほとんどであるため、新生児・小児期から難聴などの聴力障害を伴うことがあります。その他に半規管の形成が正常な状態でないため平衡感覚に支障をきたし、めまい、頭痛、耳鳴りを伴うこともあります。耳からの情報が得られないため言葉を覚えられず言語障害にもなります。内耳奇形はこうした症状を伴うため、耳鼻科検診の聴力検査などでこの疾患を疑われ、CTやMRIなどの画像検査によって詳しい状況を把握します。最近のCTの解像度が向上し、蝸牛、前庭、半規管、内耳道、前庭水管、頚静脈球などまでくっきり鮮明に映し出すまでになっているのでかなり詳しいところまで判断可能です。MRIまで使用すれば、リンパまで見えるので内耳奇形のタイプのほとんどを見分けることができます。
内耳奇形の原因
内耳奇形の原因は、サリドマイドなどの薬剤、風疹感染、突然変異による染色体異常などが挙げられ、これによって耳の発育が停止してしまったことが挙げられます。ただし実際はこの原因がどの程度内耳奇形に反映しているのか考えると、どこまで関わっているのかということまでははっきり解明されていません。そのため疾患のタイプも多種多様に分類さ入れるのです。中には内耳のほとんどが成長できなかったケースもありますが、骨の中の内耳器官のみが発達していない方など様々です。こうした症状を持たれている方々の多くは耳には異常をきたしていますが、他の器官や身体能力は正常に発達していることがほとんどなので、産まれたばかりの新生児期には気づかれないことがほとんどであるため発見が遅れてしまいます。
内耳奇形の治療法
生まれつきの疾患なのでおもだった予防法はありませんが、聞こえの悪さに疑問を感じたら早めに専門医を受診し早い時期から治療と検査が必要とされます。手術では完治することはありませんが、補聴器を使用することで外部の音の判別や言語習得や理解、コミュニケーションを高めます。決して完治する手術ではありませんが、言語習得とコミュニケーション能力をアップさせるため小さい頃からの特別な訓練を重ねることで、次第に保護者様とやり取りがスムーズになっていきます。
また内耳奇形が生まれないためには、基本的な生活リズムの中で安心・安全にゆったりしながらバランスの良い食事とストレス発散なども大切です。
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