エプシュタイン奇形とは
エプシュタイン奇形は先天性の弁膜異常症で、右心房と右心室の間にある三尖弁が変形して右心室側にずれて付着したため、三尖弁の閉鎖不全症を特徴とする病気です。 確認されている全先天性心疾患の0.5%という極めて発症率の低い病気で、比較的珍しい病気と位置づけられています。 症状は無症状のこともありますが、通常、乳児期はチアノーゼ、小児期は心雑音などで発見されます。成人では右心不全(動悸・息切れなど)症状や不整脈で発見されることもあります。
エプシュタイン奇形の症状
エプシュタイン奇形の症状は三尖弁の流入障害と逆流の程度や、右室の機能と形態異常の程度によって異なり、形態異常が軽度の場合は基本的に症状が現れない傾向にあります。そのため、軽度の発病者は成人期や学校検診などで初めて心雑音、またはWPW症候群による頻脈発作を契機に、エプシュタイン奇形の発病が多く確認されています。しかし、形態異常が重度の場合は胎児期から心拡大があったり、誕生直後より呼吸不全や心不全等を発症します。特に三尖弁逆流が高度で右心室機能不全の強い場合はチアノーゼを発症する場合があり、動悸や呼吸困難の他に心不全などの合併症が現れ、進行の度合によっては死にいたる可能性があります。
また、心房中隔欠損や卵円孔開存、三尖弁において狭くなったり逆流といった症状が併発する場合もあります。
エプシュタイン奇形の原因
エプシュタイン奇形は主に三尖弁が心尖部によって癒着し、右室内部に入り込んでしまう奇形を原因としています。三尖弁は右室心筋内層より形成されますが、この形成に異常が生じることで起こります。
異常な個所に三尖弁が存在し、右室の一部において心房化しているのが特徴です。そのため、肺に流れるはずの血が逆流してしまい、肺への血流供給量が徐々に低下してしまいます。
また、エプシュタイン奇形を発症する子どもの多くは、妊娠初期の頃に母親が炭酸リチウムと呼ばれる躁病治療薬を服用していた、という報告例もありますが、原因は不明のままになっています。
エプシュタイン奇形の治療法
先天的な病気であるエプシュタイン奇形を予防することは難しく、正確な診断が重要となります。症状に応じて、日常生活の管理指導も大切で、中等度の運動までは多くが可能ですが、症状が出た時にすぐ止めるといった、本人や周囲の理解を作ることも大切となります。
また、抜歯や細菌感染時の際の抗生物質の使用は、脳膿瘍、感染性心内膜炎予防のために重要です。
症状などに応じて、外科手術の適応が決まります。 また、心不全に対しては利尿薬や強心薬、不整脈に対しては抗不整脈等を投与したり、アブレーションを行うこともあります。
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