肺挫傷の症状

軽症の肺挫傷では症状が現れることがなく1週間程度で自然に回復します。まれに多少の胸痛を伴うこともありますが、肺挫傷に気がつかない場合もあるほどです。
  
一方、重症者では肺組織が損傷しているため、呼吸困難、頻呼吸、血痰、チアノーゼなどが見られます。さらに広範囲にわたる場合には、血液中の酸素濃度が低くなり、低酸素血症による意識障害や血圧低下が現れます。また、重症化すると急性呼吸不全を起こし死に至ることもあるため注意しなければなりません。
  
胸部打撲のなかで最も発生頻度が高く、肋骨骨折や周囲の臓器の損傷などを併発しているケースも頻繁に見られます。

肺挫傷の原因

肺挫傷は、胸部打撲や急激な肺胞内圧の上昇などによる肺胞や毛細血管の断裂が原因で発症します。打撲などの鈍的外力は他の胸部外傷と同じような原因です。
  
交通事故や高所からの墜落などによる肋骨の骨折で肺が破損したり圧迫されたり、暴行などによる外力で引き起こされるケースが多く見られます。近年では、スキーなどのスポーツによる外傷が原因になることもあります。また、肋骨骨折やその他の部位の骨折自体が肺挫傷を引き起こしていることも少なくありません。
  
外傷に関わる爆傷や衝撃波が原因となり引き起こされることも判明しており、交通事故などでは打撲だけでなく事故の衝撃が発症の誘因となることもあります。

肺挫傷の治療法

肺挫傷は突発的な事故やケガにより肺胞を傷つけて発症するケースが多いため、予防をするのは困難ですが、常に周囲に気を配り、慎重に行動するように心がけることが予防につながります。
  
また、周囲の人に外傷後の胸痛や呼吸困難など肺挫傷の兆候が現れた場合は、早急に医師の診断が受けられるように手配します。呼吸困難が見られる場合や骨折を併発している場合は、負傷者が一番楽な姿勢をとらせてあげるようにして、付き添って安心させることも重要です。