糸状虫症/フィラリア症とは
糸状虫症/フィラリア症は、フィラリア属の線虫がリンパ節やリンパ管に寄生にすることで起こる病気といえます。初期には、突然の発熱や、リンパ節の炎症、腫れ、痛みなどが主に症状です。症状が進行して慢性化すると、皮膚が硬化して乾燥する、象皮病の症状が見られます。
糸状虫症/フィラリア症の症状
糸状虫症にかかると、感染から約9か月程度の潜伏期間を経て、38度~40度の高熱と同時に、下腿や鼠径部のリンパ節の炎症、リンパ節の腫れ、痛みなどがみられます。また、初期の症状として、皮膚に痛みを伴う発疹がみられるのも特徴の一つです。発熱は4日~1週間程度続きますが、このような発作が年に数回繰り返され、次第に慢性化していきます。症状が進行し慢性化すると、主に下肢の皮膚や組織の繊維が増えて乾燥し、肥厚する象皮病の症状もみられるようになります。男性で多く見られる、リンパ管が詰まってリンパ液がたまる陰のう水腫など、生殖器等への影響も、慢性期によく見られる症状の一つです。
糸状虫症/フィラリア症の原因
糸状虫症は、フィラリア属に属するパンクロフト糸状虫やマレー糸状虫という線虫(回虫)に感染することが原因です。成虫はリンパ管やリンパ節に寄生し、血中に出現するミクロフィラリアと呼ばれる幼虫が、蚊などの中間宿主を介して感染します。初期に見られるリンパ管やリンパ節の炎症や腫れ、痛みは、リンパ管中のフィラリア成虫の代謝産物などによる免疫応答が主な原因です。また、成虫がリンパ管に寄生するため次第にリンパ管が閉塞し、最終的にリンパ管の破壊に至ると、組織液の循環が正常に行われなくなり、陰のう水腫や象皮症を引き起こします。
糸状虫症/フィラリア症の治療法
糸状虫症はフィラリアの幼虫が寄生している感染者の血液を吸った蚊などに媒介されて感染するため、蚊に刺されないことが最大の予防法になります。現在日本では、フィラリアは完全に駆除されているため、日本で糸状虫症/フィラリア症に感染することはありません。しかし、中南米、東南アジア、アフリカなど熱帯地方や亜熱帯地方では未だに感染者が多く見られるために、東南アジアなどの地方に滞在する際は注意が必要です。現在のところフィラリアに対するワクチンや予防薬はありません。
治療には、駆虫薬を使用します。
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