分離不安障害の症状

分離不安障害は、幼児期から学童期の前半に多く見られる神経性の疾患で不安感を直接的に表現する代わりに、問題行動や身体症状として表現します。身体症状としては、頭痛、腹痛、吐き気、動悸などを訴えるといった自律神経系の症状が多いです。
  
また、問題行動は子どもの個性や状況により多岐にわたりますが、夜尿、遺尿、甘えや赤ちゃんがえり、多動や乱暴などが代表的なものとなります。通常は学童期の後半以降には、症状は安定し治まりますが、無気力、抑うつ、暴力などの精神症状を引き起こし、不登校の原因となることがあります。また、幼児期、学童期だけに限らず成人になってから分離不安障害にかかる場合もあります。

分離不安障害の原因

一般に子どもは、乳幼児期、学童期、思春期と成長の段階に従い、両親などの依存対象者から徐々に自立して行きます。自立の過程において、乳幼児期や学童期で、依存対象者との物理的、心理的分離の際の分離不安はよく見られる現象です。通常の場合は発達過程でこれらの不安を克服していきます。
  
分離不安の克服がうまくいかずに、過剰な不安を示す場合が分離不安障害です。分離不安障害の発症には、遺伝的な気質や家庭環境が大きく影響する他、ペットや身近な人の死などがきっかけとなる場合もあります。

分離不安障害の治療法

発達過程で見られる分離不安は、本来は親子関係の中で普通に見られる現象であり、親子のかかわり合いの中で自然に解消していくものです。そのため、普段から子どもとの精神的な関わりを重視し、愛情を持って接することで、分離不安は克服でき、分離不安障害に発展するリスクは少なくなります。
   
また、家庭環境も子どもの精神状態を左右するため、日頃から家族内の人間関係を良好にして、両親も穏やかな気持ちで生活できるような環境を整えることも、分離不安障害の予防にとって重要です。