ミクリッツ病とは
ミクリッツ病は、唾液腺、涙腺が腫れる病気で、痛みはなく、良性の疾患です。同様な症状で、白血病や悪性リンパ腫などの疾患が原因となっている悪性の場合があります。それらはミクリッツ症候群といわれ、逆に原因となる基礎疾患が不明なものを、総じてミクリッツ病といいます。
ミクリッツ病の症状
ミクリッツ病は、リンパ液の湿潤によって、唾液腺や涙腺が炎症を起こすもので、どちらかといえば、男性に多くみられます。炎症により、耳の下やあごの脇、瞼などが腫れて、特徴的な顔相となり、顔全体が熱を持ったように感じられます。涙や唾液が出にくくなるために、結膜炎や、耳下腺炎になりやすくなったり、ものが呑み込みにくかったりすることもあります。
炎症は、片側だけだったり、両側が腫れたりとさまざまで、視覚障害が起こる場合もあります。口腔や眼が乾燥する場合もありますが、類似の症状があるシェーグレン症候群ほど強くはありません。
ミクリッツ病の原因
ミクリッツ病で、唾液腺や涙腺が腫れる原因は、リンパ液の湿潤と考えられています。ただし、リンパ液の湿潤が起こる原因は不明です。ミクリッツ病は、かつては同様の症状がみられるシェーグレン症候群と同系の疾患であるとされていました。しかし、その後日本人研究者の手によって、ミクリッツ病は、IgG4関連疾患として位置づけられ、シェーグレン症候群とは異なる疾患であると判明しました。
IgG4関連疾患とは、免疫反応の異常によるものとされ、全身のさまざまな場所が腫れたりします。ミクリッツ病の他、自己免疫性膵炎等があげられ、共通して、免疫たんぱくのIgG4が、高い濃度で患者の血液中に検出されています。
ミクリッツ病の治療法
ミクリッツ病は、自然に治まる場合もありますが、一般的に、治療には免疫を抑える副腎皮質ステロイド薬が使用されます。この、副腎皮質ステロイド薬が治療に有効だという点でも、シェーグレン症候群とは異なり、IgG4関連疾患に共通した特徴を示しています。こうした丹念なミクリッツ病についての研究、分析が、IgG4関連疾患の発見にもつながりました。IgG4関連疾患は、厚生労働省にほって2011年に診断基準が作成されました。今後さらなる研究が期待されています。
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