野兎病の症状

野兎病は初期症状に特徴がなく、発見が難しい疾患です。潜伏期間は3〜7日で、突然の発熱とともに、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛などの感冒様の症状が現れます。
  
接触感染や昆虫による媒介での感染では、野兎病菌の侵入部位に潰瘍が起こり、所属リンパ節の痛みや腫脹が見られます。経口感染の場合は、下痢、嘔吐、ときに意識障害、髄膜刺激症状なども現れ、発汗、悪寒、体力消耗、体重減少などが見られることもあります。
  
適切な治療を受ければほとんどの場合完治しますが、肺炎、髄膜炎、腹膜炎などを起こすと死に至ることもあるため注意が必要です。

野兎病の原因

野兎病は、ノウサギや齧歯類などが保有する野兎病菌が原因で発症します。感染したノウサギや齧歯類などとの直接接触、または、それらの死体に直接接触することで感染します。また、感染したダニ、アブなどの昆虫に噛まれた場合にも感染し、小児が発症しやすい感染経路です。
  
まれに調理が十分にされていないウサギの肉や水を摂取することでも感染することがあります。その他には、芝刈りなどで野兎病菌を吸い込んでしまった場合にも感染する可能性があります。野兎病菌は非常に感染力が強く、少数の菌との接触で感染するのが特徴ですが、人から人に感染することはありません。

野兎病の治療法

野兎病の発生地域では、死体を含めノウサギや齧歯類などとの接触を避けるようにしなければなりません。誤って素手で接触してしまった場合は、早急に石鹸を使用して手洗いをするか、消毒用エタノールに手を浸すか、エタノール液をしみこませた布などで拭いてください。
  
また、ダニなどの昆虫に刺されないような衣服を着用したり、忌避剤などを使用したりするのも効果的です。生水の飲用を避ける必要もあります。弱毒生ワクチンの摂取も有効ですが、日本では実用されていません。