呼吸窮迫症候群の症状

呼吸窮迫症候群の新生児は、サーファクタントの不足により肺胞がつぶれており、肺の中へ空気を送り込むことができないため、正しく呼吸を行うことができません。そのため、息を吸い込む際に、肋骨の下などがへこむ、陥没呼吸と呼ばれる症状が現れます。
  
また、息を吸い込む際に鼻の穴が大きくなる、息を吐く際にうなるような声を出すなど、ひどく苦しそうに呼吸をする症状が見られます。さらに、肺から酸素を取り込むことができないため、血中の酸素濃度が低下し、チアノーゼと呼ばれる、皮膚が青くなる症状も起こります。時間の経過に伴い、酸素濃度の低下は脳やその他の臓器にも影響を及ぼします。

呼吸窮迫症候群の原因

呼吸窮迫症候群が起こる原因は、肺胞を拡張した状態に保ち、呼吸した際に正常に肺まで空気を送り込むために必要な、サーファクタントと呼ばれる物質の不足にあります。このサーファクタントは妊娠32週ころから十分につくられはじめるため、それ以前に生まれた新生児はサーファクタントが不足し、呼吸窮迫症候群を起こしやすくなります。
  
満期で生まれた新生児であっても、胎便が肺に吸引された場合や、低血圧や低酸素などになった場合にはサーファクタントの働きが阻害され、サーファクタントが不足した場合と同様に、呼吸窮迫症候群を起こしやすくなります。

呼吸窮迫症候群の治療法

呼吸窮迫症候群を予防するためには、新生児のサーファクタント不足を防ぐ必要があります。そのためには、十分なサーファクタントが胎内で生産されるまで、出産を遅らせるなどの対策がとられています。
    
また、妊娠中の母体にコルチコステロイド薬を注射すると、胎児のサーファクタントの生産が促されるため、注射から48時間以内には、早産になったとしても呼吸窮迫症候群を起こすリスクがかなり低くなる段階まで胎児の肺を成熟させることができます。

治療は、人工サーファクタントの投与する薬物療法と呼吸管理を行います。