遺伝性球状赤血球症の症状

遺伝性球状赤血球症では、球状となった赤血球が脾臓で破壊されるために貧血が起こりますが、通常は貧血の程度が軽く、また大人になるにつれ骨髄での赤血球生産が促され、貧血がうまく代償されて症状が見られないこともあります。
  
重症の場合は、黄疸が見られるようになります。また赤血球が脾臓で破壊される影響で、脾臓の腫大が認められます。ウイルス性の感染症にかかった場合、脾臓の運動が活発になるため、一時的に溶血が起こりやすくなります。また、合併して起こりやすい病気の一つに胆石が挙げられ、胆石の手術を行う際に初めて遺伝性球状赤血球症が発見されることもあります。

遺伝性球状赤血球症の原因

遺伝性球状赤血球症は、赤血球の膜を形成する細胞骨格の遺伝子に異常が認められるために起こるとされています。
  
こうした遺伝子の異常により、赤血球の形状を維持する能力が失われるために、赤血球が球状となってしまいます。また、脾臓を通過する際に必要な変形能力も失われているため、赤血球が壊れやすくなり、溶血性貧血が引き起こされます。
  
赤血球の破壊は主に脾臓で行われるため、手術によって脾臓を摘出することにより症状が改善する傾向にあります。しかしながら脾臓を摘出すると感染症にかかりやすくなるため、幼児期に手術を行うにはリスクが高いという指摘もあります。

遺伝性球状赤血球症の治療法

遺伝性球状赤血球症は強い遺伝性をもつため、親がこの病気を持っている場合は高い確率で子どもも病気を発症します。遺伝による発症を防ぐ方法は現在のところ確立されてはいませんが、軽度の場合はなかなか発見されない病気であるため、もしも親に遺伝性球状赤血球症の自覚がある場合は、子どもにも受け継がれている可能性を考え、早めに専門の医療機関へ受診するとよいです。
  
早期に診察を受けることによって、症状が出た際の対処や、脾臓摘出などの治療について考えることが可能です。