肺動静脈瘻とは
本来は心臓からの血液は、肺動脈から毛細血管を経由し肺静脈に流れ、再び心臓に戻り、全身に流れていきます。肺動静脈瘻とは、異常な短絡交通路ができることによって、肺動脈が毛細血管を経由せず、直接肺静脈につながった状態をいいます。このためにガス交換の効率が低下します。
肺動静脈瘻の症状
肺動静脈瘻になると、心臓から肺に出た血液の一部が肺胞の毛細血管に流れないため、酸素が不足したままの血液が心臓に戻り、その血液が体内に送り出されることになります。その量が多ければ、体内が低酸素状態になり、全身の倦怠感や呼吸困難を起こしたり、チアノーゼなどの症状があらわれます。一方、小さな肺動静脈瘻では症状のない場合も多いです。毛細血管は、血液中の血栓を除去したり、細菌の侵入を防ぐフィルターの役割を持っています。しかし、肺動静脈瘻では、そのフィルターを通さないので、体内で作られた血栓などが除去されず、そのまま流れてしまいます。そのため、血栓が脳に詰まり脳梗塞を引き起こしたり、細菌が脳内に入り脳の中に膿がたまる、脳膿瘍になることもあります。
また肺動静脈瘻が破裂し、血胸や喀血を起こすこともまれにあります。
肺動静脈瘻の原因
肺動静脈瘻は、多くは先天性の病気です。この病気を持つ患者の40%程度が、遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)という遺伝性の病気と言われています。この場合、肺内やその他の臓器にも動静脈奇形を多発性に発症します。
そのほか、後天的なものとしては、胸部への外傷や手術等で血管が損傷を受けた際に、自然治癒の過程で静脈と動脈がつながって治癒されてしまうことによる発症例もあります。また、肝硬変、肺感染症が原因で発症する場合もあります。
肺動静脈瘻の治療法
肺動静脈瘻は主に先天性のものなので予防はできませんが、診断された場合には流入動脈の径が3mm以上であれば治療が必要です。カテーテルを使い、瘻に栓をして動静脈の短絡がないようにする血管内治療が主流となっています。カテーテル治療が難しい場合には手術で肺動静脈奇形(瘻)そのものを切除します。肺動静脈瘻がある状態でいると、赤血球が増え、血栓ができやすくなります。また、瘻が大きくなることにより、破裂する恐れもあるので、早期に発見し、治療を行うことが大切です。
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