悪性末梢神経鞘腫瘍とは
悪性末梢神経鞘腫瘍は神経に発生する悪性の腫瘍で、悪性軟部腫瘍の一種です。発生率は5万人に1人で、悪性末梢神経鞘腫瘍はその中の5%ほどと稀な腫瘍です。軟部腫瘍とは骨格を除いた組織にできる腫瘍で、血管、筋肉、脂肪、末梢神経などに発生します。
悪性末梢神経鞘腫瘍の症状
悪性末梢神経鞘腫瘍は末梢神経から発生する悪性腫瘍です。症状は見られないこともありますが、腫瘤の圧迫による痛みやしびれが起こることがあります。腫瘍が発生した神経に関連する運動や感覚の障害が起こりうることも特徴です。発生する部位は、臀部、大腿部、脇の下、上腕、傍脊椎部などが多く、神経のある様々な部位に発生します。20~50代にみられるケースが多い病気です。
症状が進行していくにつれ、血液やリンパ液にのって他の部位に転移する場合があります。悪性末梢神経鞘腫瘍が転移しやすい臓器は肺で、転移後に病気が進むと息切れや呼吸困難などの症状が出てきます。
悪性末梢神経鞘腫瘍の原因
悪性末梢神経鞘腫瘍の患者うち、およそ半分の人は神経線維腫症I型(別名レックリングハウゼン病)から発生するといわれています。神経線維腫症I型とは、末梢神経に神経線維腫という良性の腫瘍が発生する病気で、遺伝子異常によって起こると考えられています。体のさまざまな部分に神経線維腫が発生し、これらが悪性化した場合に悪性末梢神経鞘腫瘍となります。短期間のうちに神経線維腫が大きくなった場合は、悪性化の可能性があります。悪性末梢神経鞘腫瘍では血液検査による特異的なマーカーが少ないため、診断のためにはMRI検査や実際に組織の一部をとって顕微鏡による診断を行います。
その他に放射線治療後の人にも悪性末梢神経鞘腫瘍が発生することがあり、悪性末梢神経鞘腫瘍の患者うち1割の人は放射線治療後であるといわれています。
悪性末梢神経鞘腫瘍の治療法
もともと良性の神経線維腫を持っている人は症状の変化をよく観察し、急激に大きくなった場合や痛みやしびれが出たりした場合は、すぐに診察を受けることが大切です。悪性末梢神経鞘腫瘍は、専門機関での治療が必要です。根本的な治療は、手術にる腫瘍の切除です。また、他の臓器などへの転移がみられやすい病気のため、手術後も定期的な検査が安心です。バランス良い食事や規則正しい生活を基本とし、体調の変化などがあれば早めに医師の診察を受けることが重要です。
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