胎児ジストレス/胎児仮死の症状

胎児ジストレスは、胎児が子宮内で呼吸や循環機能が障害された状態をいいます。妊娠中・分娩中のいずれの場合にもみられます。
症状として主にあげられるのは胎児の心拍の異常、呼吸様運動、胎動抑制などです。また低酸素状態が慢性化していることから胎児の臍帯血流が少ない、尿量が減るため羊水の量が少ない、胎児の大きさが標準より小さいなどが見られます。

胎児ジストレス/胎児仮死の原因

低酸素状態が長引くと胎児は生命維持に必要ない臓器への血流を減らしてしまうため、血流が減少した臓器での障害が発生し最悪の場合胎児が死亡することもあります。これらの状態は超音波を使った各種検査やリアルタイムで胎児の心拍数をモニタリングすることによって診断されます。胎児ジストレスの原因は以下のように分けて考えられます。

1つ目は、母体因子です。出血や麻酔、仰臥位低血圧症候群などによる低血圧症状や喘息、心臓病などによる低酸素症があります。
2つ目は、子宮因子です。過強陣痛などの陣痛異常や子宮破裂があげられます。
3つ目は、胎児因子です。染色体異常がおこったり、多胎妊娠や血液型不適合妊娠、先天性心疾患を患う可能性もあります。
4つ目は、臍帯因子です。臍帯の巻絡、脱出、真結節、断裂などの臍帯異常 羊水過小による臍帯圧迫があります。
5つ目は、胎盤因子です。前置胎盤、胎盤早期剥離や過期妊娠や、妊娠中毒症(高血圧症候群)・絨毛膜羊膜炎で起こります。

これらの原因により胎児が低酸素状態となると考えられています。特に多いのは、妊娠中は妊娠中毒症(高血圧症候群)、分娩中は臍帯の異常が原因になる場合です。

胎児ジストレス/胎児仮死の治療法

胎児ジストレスを予防するためには、母体においては妊娠中毒症(高血圧症候群)にならないように気をつけることが大切です。
そのためには、バランスのよくとれた食事をとり、塩分を控え、ストレスをためないようにすることが大切です。
妊娠中は胎動の有無や腹痛、破水などに注意し、胎児の状態が良くないと診断されればモニタリングを行います。低酸素状態が疑われれば原因となる疾患の治療や酸素吸入、羊水注入など早急に改善のための措置を行います。それでも改善しない場合には吸引分娩や帝王切開などで急速に分娩します。