ビタミンE欠乏症の症状

ビタミンE欠乏症が引き起こす主な症状として溶血性貧血があります。抗酸化作用を持つビタミンEが不足することにより体内で不飽和脂肪酸の酸化が進み、過酸化脂質となり赤血球が破壊されてしまうために起こる症状です。

また主に小児において感覚障害や筋脱力、脊髄小脳失調などの神経学的欠損の症状が見られることがあります。その他体内の細胞が酸化されることによって細胞の老化が進み、血行障害による動脈硬化や肌のしみ・くすみ、白内障などを引き起こすとも考えられています。
不妊症や習慣性流産などとの因果関係も報告されています。

ビタミンE欠乏症の原因

ビタミンE欠乏症を引き起こす原因としてひとつにはビタミンEの摂取不足があります。しかし発展途上国では最大の原因となる食生活における摂取不足は、先進諸国および日本の成人にはほとんど見られることはありません。先進諸国および日本の場合は脂肪吸収不良を引き起こす疾患が原因となることが一般的です。

そのような疾患としては以下のようなものがあります。
・無βリポ蛋白血症などの遺伝子疾患
・慢性胆汁うっ滞の肝胆汁性疾患
・膵炎
・短腸症候群
・嚢胞性線維症
・肝臓代謝不全

その他未熟児の場合も吸収不良や不飽和脂肪酸の投与が原因となってビタミンE欠乏症を引き起こすことがあります。

ビタミンE欠乏症の治療法

ビタミンE欠乏症はその原因が摂取不足や吸収不良によるものであれば、適切な量を経口摂取することで予防することができます。しかし初期の神経学的欠損を治療する場合や無βリポ蛋白血症などの場合は高用量を注射などで投与する必要があります。

脂溶性ビタミンは過剰摂取により毒性が働くものがありますが、ビタミンEを過剰摂取しても体内での吸収量がコントロールされているため、特に毒性に働くことはないと考えられています。

基礎疾患があれば、そちらの治療を行うことが大切となります。