症状

尿毒症性脳症では、BUNが60mg/dlを超えた状態になると、易疲労感や記憶力や集中力の低下が出現するようになります。

また、これに加えて易刺激性や反復計算力の低下など高次脳機能障害のような症状が出現します。
これが進行すると、情動や意欲面でも障害が発生するようになり無欲状態となったり抑うつ状態となる場合があります。

さらに、意識の清明度や覚醒レベルにまで影響があり、意識レベルの低下や精神錯乱、せん妄などの精神症状が出現するようになります。
また、中枢神経症状だけではなく、心血管系障害や高カリウム血症、消化器病変なども併せて発症し、血液中の異常として出血傾向が見られるなど全身で影響が強く見られるようになります。

原因

尿毒症性脳症の原因として、腎機能の低下、いわゆる腎不全状態があります。
腎機能が低下する原因としては、循環障害、血管障害、溶血、感染症などの他に尿路結石や腹部腫瘍による圧迫、前立腺肥大などがあります。頻度としては糖尿病による腎機能障害が多いです。

急性腎不全では、種々のこれら種々の原因により急激に生じる腎機能障害であり、その結果、老廃物である尿素などを尿中に放出できなくなったり、体液の電解質の恒常性の維持ができなくなった結果生じるもので、高窒素血症や尿毒症を主な症候とする症候群です。多くの場合に乏尿や無尿を伴います。

慢性腎不全ではGFR低下のため、尿毒性毒素の排泄や、水・電解質・酸などの調整が十分に行えなくなった結果、段階を経て腎不全症状が進行していくものです。

治療法

尿毒症性脳症を予防するためには、腎不全の原因となる事故や疾患に対して適切な処置・治療を行う必要があります。

出血があれば輸血、輸液により循環状態の改善をはかり、脱水症状に対しては輸液によりただちに補正するなどの方法によります。乏尿期の治療では、水や電解質バランスおよび栄養の管理、感染の予防などの療法を行う必要があります。

高窒素血症が続く場合、早期に腹膜透析や血液透析を行う必要があります。利尿期には過度の水分および電解質の喪失に注意して、排出された成分の補給とバランスの管理が必要となります。軽度の症状であれば、食事療法のみで対応することが可能な場合もありますが、原因によってはこれだけでは不十分な場合が多いです。