急速進行性糸球体腎炎症候群とは
急速進行性糸球体腎炎症候群は腎臓疾病の一種です。 腎臓疾患の中では糸球体腎炎が急性発症しやすく、腎炎症状が急速に進行し発症から数週間から数か月間で腎不全に至る糸球体腎炎のことです。糸球体腎炎はそれぞれの示す臨床徴候により、急性糸球体腎炎と急速進行性糸球体腎炎および慢性糸球体腎炎に分類されます。
急速進行性糸球体腎炎症候群の症状
急速進行性糸球体腎炎症候群(RPGN)の症状の特徴として、数週から数か月の経過で急激に腎機能が悪化する点があります。尿所見では顕微鏡的血尿、まれに肉眼的血尿、たんぱく尿、赤血球円柱や顆粒円柱が認められます。特徴的な症状として貧血を伴うことが多くあります。また、高血圧や浮腫などの他に倦怠感、疲労感、腰背部痛などの不定愁訴の訴えがある場合もあります。
PRGNは治療開始時期が遅れれば末期腎不全に進行するだけでなく、致命的な合併症により生命予後も極めて悪い腎炎です。腎不全状態なると合併症として尿毒症、肺水腫、乏尿、アシドーシスの進行、高度の電解質異常など日常生活の維持に大きな障害となる症状が出現するようになります。
急速進行性糸球体腎炎症候群の原因
急速進行性糸球体腎炎症候群の原因としては免疫学的機序が考えられています。腎生検で50%以上の糸球体に半月体形成という病理所見が認められています。原因となる自己抗体の種類によりANCA関連腎炎、グッドパスチャー(Goodpusture)症候群などに分類されます。
半月体とは糸球体周囲かつボウマン嚢内における繊維化と考えられています。糸球体血管外かつボウマン嚢内で、糸球体を取り囲むように細胞や繊維組織が増殖するため生じます。
とくに繊維化の強い半月体痙性がみられる糸球体病変は不可逆的で、その腎疾患が予後不良であることを示唆しています。
急速進行性糸球体腎炎症候群の治療法
急速進行性糸球体腎炎症候群の治療としては、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤、メチルプレドニゾロンパルス療法、血漿交換療法など色々な療法を併用しながらの集学的な治療が必要となります。免疫的な機序であるため、予防するのは難しいです。しかし、腎機能を低下させるようなリスク、高血圧や高カリウム血症を招くような生活習慣があれば改善していく必要があります。食事療法は基本となります。これによりタンパク、塩分、カリウム、リンなど栄養分と電解質を正しくコントロールし、適度な運動を行い、失われた水分や電解質を適正に補給することで腎機能への負担を最小限に抑えていく必要があります。
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