総動脈幹残遺症の症状

総動脈幹残遺症とは、肺動脈と大動脈が分離しておらずに大きな一本の動脈管として存在する奇形です。先天性心奇形の1~2パーセントを占めるもので、内約35パーセントにディ・ジョージ症候群や口蓋心顔面症候群が見られます。

4つの病型に分けることができ、1~4型と分けます。総動脈幹弁閉鎖不全、冠動脈奇形、房室中隔欠損などのそのほかの奇形と合併することが多いとされています。

1型の症状は、新生児が生後数週間以内に軽度のチアノーゼ、心不全、重度の肺循環過剰が起こります。2と3型ではチアノーゼが1型よりも顕著であるが、肺血流は正常であるか微増であるために心不全をきたすことは少ないとされています。

そのほかにも生後早い時期に呼吸障害や、哺乳不良、体重増加不良、発汗、頻呼吸などの心不全症状があらわれ、また心音が安定していないことが多いです。

総動脈幹残遺症の原因

胎児期の動脈は総動脈幹(原始動脈幹)と呼ばれる一本の管で、それが成長とともに次第に真ん中から壁ができていき、大動脈と肺動脈に分かれていきます。これが正常な成長ですが、総動脈幹残遺症では、これらが分離せずに一本の大きな動脈幹として残り、さらに大きな漏斗部心室中隔欠損を伴った状態になります。
この奇形が起こる原因は判明していません。
大動脈と肺動脈が一本に合わさったままなので、結果的に心臓から送られる血液と肺から送られる血液が混ざり合い、酸素化血と飽和度の低い血液の混合血液が体循環、肺循環、冠循環に流入することになります。このことにより、全身の血液中の酸素濃度が低いこととなり、チアノーゼなどの様々な症状があらわれます。

総動脈幹残遺症の治療法

総動脈幹残遺症は先天性の奇形であり、この奇形が起こる原因ははっきりとは分かっていません。そのため、奇形が起こることを予防することは難しいとされています。この病気の最大の予防は、新生児期などの検査で早期発見し、症状を軽くさせることです。
一般的に総動脈幹残遺症の治療は、心不全に対する内科的治療の後に、外科的修復が行われます。心不全の治療では、利尿薬やシゴキシン、ACE阻害剤などにより行われます。外科的修復は完全な一時修復からなります。総動脈幹残遺症はそのほかの奇形と合併していることが多いために、外科的手術の死亡率が引き上げられ10~30パーセントといわれています。