肝吸虫症/肝ジストマ症の症状

肝吸虫症の症状として、寄生虫性肝硬変があります。寄生虫自体が胆汁の流れを阻害する事による機械的障害によって発生し、肝細胞の変性、萎縮、黄疸を伴う事があります。腹部膨満、貧血、夜盲症等の症状も見られ、肝内結石、肝臓がん、胆石との因果関係も推察されています。
肝吸虫症の診断には糞や胆汁の中に肝吸虫卵があるか検査することで判断します。横川吸虫、肺吸虫、日本住血吸虫等の虫卵と判別することが重要です。治療には様々な駆虫薬が使われてきましたが、現在ではプラジカンテルが使用されています。寄生虫の細胞膜に作用してカルシウムイオンの透過性を上げる事で収縮、麻痺を引き起こし、成虫や卵を破壊します。

肝吸虫症/肝ジストマ症の原因

肝吸虫の生活史は、河川に流れ出た虫卵は第1中間宿主であるマメタニシに摂取され、孵化すると体内でセルカリアまで成長すると水中に泳ぎ出て第2中間宿主であるコイ科の淡水魚に寄生します。魚の筋肉内でメタセルカリアに成長し、終宿主である人間が魚を食べると小腸から輸胆管に侵入し、肝臓に到達します。人体に入って約4週間で成熟産卵し、成虫は10年以上生存すると考えられており、卵は胆道から腸へ流れ出て糞と一緒に体外に排出されます。
感染の原因は川魚を生食した事です。刺身や酢漬けは感染の危険があります。宮城県では肝吸虫症が寄生虫の感染が原因だと判明する以前の明治時代初期に淡水魚を食べる事を禁止する命令が出されています。生食は当然危険ですが、焼き魚でも加熱が不十分だった場合は筋肉中の寄生虫が死滅せずに感染の危険があります。

肝吸虫症/肝ジストマ症の治療法

肝吸虫症は経口感染する事が判明している事から、感染を予防する確実な方法は川魚を食べない事です。肝吸虫の第中間宿主はコイ科の淡水魚で、コイ、フナ、ウグイ、ワカサギ、モロコ等で、その種類は70種程確認されています。これらの川魚を食べる風習のある地方には肝吸虫症の感染報告が多く、特に注意が必要です。

刺身、背越し、酢漬けと言った生食は感染の危険が高く、加熱調理の場合も十分に火を通す事が重要です。基本的に淡水魚は様々な寄生虫の中間宿主である事が判明しているので、その取り扱いには注意が必要です。

肝硬変になってしまうと、寄生虫を駆虫できても肝臓は元には戻りませんので、早期の治療が必要となります。