外傷性正常圧水頭症の症状

外傷性正常圧水頭症では、歩行障害や認知症、尿失禁などの症状が現れることが特徴です。特に、早期の外傷性正常圧水頭症では、歩行障害の症状が見られます。麻痺が無いにも関わらず歩きにくく感じるようになり、上手く歩くことができなくなります。

歩行障害は、振戦を伴わない小股歩行で、足を開くのがややゆっくりであることが多いです。痴呆は集中力の低下や記銘力の低下、無気力、無関心など覚醒レベルでの低下が原因です。尿失禁は、尿意が無い真性の尿失禁は少なく、歩行障害とともに尿意を我慢できなくなる切迫尿失禁がしばしば認められます。

急性の水頭症の場合は、激しい頭痛と嘔吐に襲われた後、意識障害やけいれんを起こし生命に危険が及びます。

外傷性正常圧水頭症の原因

外傷性くも膜下出血や外傷性脳室内出血などでの出血が外傷性正常圧水頭症の原因とされています。外傷性くも膜下出血は、頭部に外傷を受けることによって脳動脈瘤が破裂、または脳動脈乖離が起こることによって発症します。
傷を受けたあと、数週間かけて徐々に脳髄液が貯まり、脳室が拡大していくと脳室の圧の上昇がほとんど無い外傷性正常圧水頭症になります。
外傷性正常圧水頭症は、特定できる原因によって脳脊髄液の流れが滞ることで起こる病気であると言えます。
また、特発性正常圧水頭症の場合は、原因はよくわからないため、症状があらわれた時には、物忘れや尿失禁などの症状のため「年のせい」だと思われることが多い病気です。しかし正しく治療を行えば症状を改善することができます。

外傷性正常圧水頭症の治療法

外傷性正常圧水頭症を予防するには、頭部への怪我に気をつける、くも膜下出血が起こらないように過ごすなどします。
水頭症の治療には、貯まった髄液を管を通してお腹などに流すシャント術と、脳の中に新しい髄液の出口を作り髄液を流す第3脳室底開窓術があります。
シャント術は、今日では最も標準的な水頭症の治療法です。髄液の貯まった脳室にカテーテルを挿入し、腹腔までカテーテルを通し、髄液を流す手術です。
第3脳室底開窓手術は、シャント術ではカテーテルが詰まってしまうと具合が急に悪くなってしまったり、流す髄液の量の調節がうまくいかないと骨と脳の間に血液が貯まってしまうため、第3脳室に孔を開けて風船付きのカテーテルで拡大する手術です。