角膜化学腐蝕の症状

角膜化学腐蝕は強い痛みや充血、流涙を伴い、急激に視力が低下します。痛くて目を開けるのもつらい状態になりますが、まぶたを閉じておくと目を化学物質に長時間さらすことになり症状が悪化するので、無理矢理にでも目を開けて、大量の水で洗い流すことが重要です。

ひどい場合、角膜に強い濁りが残り、まぶたの裏側と眼球がくっついてしまうこともあります。重症化すると角膜潰瘍から角膜穿孔(角膜に穴があく)になり、失明に至ることもあります。

熱いアルカリや酸が入ると角膜熱傷を伴うこともあり、より重症化しやすいです。角膜に強い濁りや腫れが残った場合、角膜移植を行うこともありますが、効果が得られにくく、視力が回復するのは難しいです。

角膜化学腐蝕の原因

角膜化学腐蝕の原因は、酸性物質やアルカリ性物質、有毒物質などの化学物質が目に入ることです。角膜や結膜、まぶたなどに炎症が起こりただれます。
酸性物質が目に入ると、酸は目の表面のタンパク質と結合し水に溶けなくなる性質があります。目の表面が白く濁っても、組織内への浸透が少ないので、1週間程で完治する場合が多いです。
逆にアルカリ性物質が目に入ると、目の表面のタンパク質と結合してもなお水に溶けやすい性質があります。初期症状が軽くみえても時間の経過に伴って、深部へ侵入していき重症化することが多いです。アルカリ性物質の中でも特に水酸化ナトリウムは水に溶けやすく、非常に危険です。
原因物質により治療方法や経過、予後が異なるので、眼科を受診する際に持参すると良いでしょう。

角膜化学腐蝕の治療法

角膜化学腐蝕の予防は、化学物質が目に入らないようにゴーグルなどを使用することです。眼鏡は隙間から入ることがあるので完全に隙間をなくすゴーグルの方が良いです。
化学物質が入ってしまった場合は応急処置が重要です。すぐに大量の流水で洗い流します。継続して30分以上洗い続けます。早めに眼科を受診するべきですが、受診する際に入ったものを持参すると医師が治療方法や予後判定を判断しやすくなります。
眼科を受診してからも大量の生理食塩水で洗い流します。少しでも化学物質が残っていると浸透していくので、まぶたの裏を拭き取ったり、固形物が張り付いていて取れない場合は手術で摘除します。その後、副腎皮質ステロイド薬や抗菌薬を用いたり、眼帯で目の表面を保護したりします。