なかなか大っぴらに口には出せない病気、痔でお悩みのかたは意外と多いと思います。何と日本人の3人に1人が痔で悩んでいるという統計もあるそうです。

診断を受けていなくても「痔だな」と感じたことのある人も多いでしょう。「病院に行けばよくなるかも」と思いつつ、命に関わる病気でもないし、恥ずかしいから…と受診を先延ばしにしているかたはいらっしゃいませんか?今回はこの痔の話を医師に聞いてきました。

50%を占めるいぼ痔

痔には
・いぼ痔(痔核)
・切れ痔
痔ろう

などの種類があります。痔と総称される病気の50%が、いぼ痔(痔核)だといいます。いぼは痔さらには内痔核、外痔核、脱肛などに分けられます。

いぼ痔は、便を出すときに「いきみ」が強すぎて肛門周囲の組織がうっ血してして起こると考えられています。何度も力を込めていきみを繰り返すことで、肛門周囲の組織が何度も伸縮することになり、繊維の一部が断裂し、ゆるみができることがあります。ここにうっ血した血液がたまってしまうのが、肛門の内側から痔がせり出してくるタイプの内痔核です。

外から触れるところにある肛門縁付近が腫れる外痔核も、内痔核と同様の経過でできる場合もあります。また血栓性外痔核、といって身体の冷えや、長い間ずっと同じ姿勢で座っていたりすることでできる場合もあります。

初期の、ごく軽いいぼ痔であれば、自宅でのケアあるいは日常生活に少し気をつけることで自然に改善・治癒する場合もあります。

外痔核

外痔核は、まずいきむ原因となる便秘を解消することが大切です。便を柔らかくする工夫をしましょう。

【便秘の解消方法】
・野菜や果物など食物繊維を多く含む食品をとる
・水分をこまめに補給
・ヨーグルトなど乳酸菌を含む食品をとる

また、極端な冷え、タバコは血流を悪くする原因となるので控えるようにしましょう。アルコールやスパイシーな食べ物もよくありません。

シャワーではなく湯船にお湯を張って肛門付近を温めることは血流を良くして外痔核の改善につながります。特に健康上、制限がなければ、あまり熱くないお風呂にゆっくりつかる習慣をつけるといいでしょう。

内痔核

内痔核は、軽症なうちであれば外痔核と同様に便秘解消や日常の注意点を守るのに加え、市販の塗り薬や座薬を用いることで多くの場合、改善が見込めるかと思います。

ただし症状が進行し、常に肛門の外に飛び出ていたり、自然には元の位置に戻らなくなってしまったような内痔核は自宅での治療ではよくならないことも多く、場合によっては手術が必要になることもあります。

医師からのアドバイス

自分では見えづらい場所にあり、家族といえども状態を見てもらうのは少し抵抗のある痔。おかしいな、と思ったら、専門の肛門科を受診してみるのがよいでしょう。肛門科の医師やスタッフは毎日肛門をみているプロですから、恥ずかしいことはありません。

(監修:Doctors Me 医師)