少し前のCMで一躍注目を集めた病気として、逆流性食道炎があります。

ストレス社会の代表的な病気とも言える逆流性食道炎は、一体どのような症状のある病気なのでしょうか?

今回は、逆流性食道炎について解説します。

要チェック項目


□逆流性食道炎は胃酸が逆流して発生する病気
□主にストレスが原因で発症
□日常生活にもにも影響をおよぼすことも

逆流性食道炎とはどんな病気?


胃では、胃酸で食べ物からタンパク質を分解し、消化する作業を行っています。胃酸は非常に強烈な酸性なのですが、胃では粘膜を守るための防御機能があるので特に影響はありません。

ただ、他の臓器ではこの胃酸は炎症を起こしてしまうのです。本来は、胃から食道側に胃液が逆流することはないのですが、様々な要因で逆流してしまうことで食道に炎症が発生してしまうことがあります。それが逆流性食道炎なのです。

逆流性食道炎の発生する原因は?


逆流性食道炎が発生するパターンには大きく分けて3つの要因が挙げられます。

下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)の機能低下


逆流性食道炎の最も代表的な原因として、下部食道括約筋の機能低下があります。

食道と胃を繋ぐ場所にある下部食道括約筋の筋力が低下することで、本来胃酸の逆流を防ぐ弁のような働きをしなければならないのに、弁の効果を果たさずに逆流してしまうケースがあります。

胃内圧の上昇


胃内圧が高い状態になると、胃酸が逆流するケースが見られます。胃内圧が高くなると、圧力の低い方へものが流れる事になりますので、自然と胃酸も逆流してしまうのです。

胃内圧が高くなる原因としては、お腹をベルトでギュッと締めた状態であったり前かがみなどでも胃内圧が高くなります。

食道の機能低下


他の要因として、食道自体のコンディション低下が挙げられます。

主に食道知覚過敏の状態であると、少しの胃酸の逆流でも炎症を起こしやすくなってしまいます。

逆流性食道炎の症状は?


逆流性食道炎の代表的な症状としては、次のような症状が見られます。

胸焼けや呑酸(どんさん)


この症状はCMでも一世風靡したので、よくご存知ではないでしょうか?胃酸が食道へこみ上げることにより、胸が焼けるような感じがしたり実際に喉のあたりまでこみ上げてきてゲップがでます。

ゲップまででるようになると、口臭も気になってきますし、ひどい場合にはゲップでは済まず吐いてしまうケースも見られます。

胸の痛み


逆流性食道炎では、胸の痛みも見られます。症状として狭心症に近く、胸を締め付けられるような感覚となります。かなり危険な症状であると言えますね。

咳や喘息


この症状は、逆流した胃酸が喉や気管支を強く刺激してしまうことで、咳が出やすくなったり喘息様症状が出ることがあります。

また、喉自体で炎症が起きると声がかれたり喉に違和感を感じるようになります。喉までこみ上げてきているだけに、症状としてはかなり重いものになります。

その他の合併症や症状


バレット食道という合併症があり、食道の表面にある扁平上皮が変質して円柱上皮になる事を言います。バレット食道はバレット腺癌と呼ばれる癌の発生母地となります。

また、逆流性食道炎になると夜も眠れなくなり、睡眠障害を併発することで知られています。

逆流性食道炎はどのような治療を行うの?


逆流性食道炎は、どのような治療を行うのでしょうか?

薬物療法


逆流性食道炎では、基本的に薬物療法が用いられます。実に様々な治療薬がありますが、基本的には胃酸の量を抑制するヒスタミン受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬を服用します。

これにより、胃酸自体が抑制されて逆流しにくくなり、程度が重くない場合はすぐに症状がなくなるケースが殆んどです。

ただし、逆流した胃酸が原因でできた食道の炎症や潰瘍は、自然に治ることを待つことになります。

ただ、この方法でも根本的な逆流の原因を抑えるわけではなく、薬をのむのをやめると再発するケースがあります。よって、長期間薬を飲み続けるのが一般的です。または、症状が再発したと思われた時だけ薬をのむケースも見られます。

外科手術


薬物療法で効果が見られない場合は、手術を行うことになります。最近では、医療の進化で腹腔鏡による手術を行うケースが増えています。

胃噴門形成術とも呼ばれ、噴門が胃酸の逆流を防ぐように形成し直す手術になります。

一般的には術後2日間の入院だけで済むケースが殆んどですので、大きな負担がかからない手術として知られています。

逆流性食道炎の予防・対策とは?


逆流性食道炎が発症しないようにするためには、次のような点を心がけて下さい。

食生活の改善


まずは食生活の改善から取り組んで下さい。逆流性食道炎を発症させるものとして、脂肪分であったりタンパク質の多い食材を摂取すると、胃酸の逆流を助長します。

また、辛いものや甘いもの、酸味の強いものはなるべく摂取しないようにして下さい。他にも、食べ過ぎには要注意です。

姿勢を正す


逆流性食道炎の予防には姿勢にも注意が必要です。猫背で前かがみ気味の姿勢の方がいますが、これは胃酸の逆流を助長する姿勢なのです。

特に、食後3時間は逆流が発生しやすいので、背筋を伸ばして前かがみにならない姿勢を心がけましょう。

また、お腹の締め付けも腹圧が上がることで逆流させやすくなるので、注意して下さい。

逆流性食道炎と言って侮ることなかれ!


いかがでしたでしょうか?逆流性食道炎は胸焼けが起こるだけじゃないの?と思いがちですが、実は食道がんの発生要因になると見られている危険な症状なのです。

仮に症状が疑われる場合は、すぐに専門医の検診を受けることをお勧めします。

(監修:Doctors Me 医師)