口内炎、やっかいですよね。とくによく動く舌にできると、どこかに当たる度に「痛っ! 」と、気になって何も手につかないなんてこともあるのでは?

今回は舌にできるタイプに注目し、なぜできてしまうのか、できてしまったらどうすればよいのか、特に注意すべき点は何かなどをじっくり探っていきましょう。

タイプ別:口内炎の原因と症状

一口に口内炎と言っても、実はいろいろなタイプがあります。原因も違えば症状も違います。当然治療法もひと通りではありません。

自分がどのタイプなのかを見極めて適切な対策を講じてください。

アフタ性口内炎:最も多い、白くて丸い炎症


2mmから10mmほどの白っぽい丸い炎症ができていれば、アフタ性口内炎(潰瘍性口内炎)でしょう。

ひとつだけとは限らず、2~3個が近くにできることもあります。

体調を崩すとなりやすく、ストレスや疲れ、睡眠不足などによって免疫力が低下したり、ビタミンB2などが不足することが原因といわれています。

ウイルス性口内炎:小さな水ぶくれがたくさん


小さな水ぶくれのような炎症がたくさんできていたり、それがつぶれて「びらん」(ただれ)となっている場合はウイルスが原因です。

ウイルスの感染によるものですが、ウイルスにも何種類もあり、たとえばヘルペスウイルス、カビ(真菌)の一種であるカンジダ菌、かぜの原因となるウイルスなどが知られています。

そのほか、クラミジア、梅毒、淋病といった性病に感染している場合も同じような症状が見られる場合があります。発熱や強い痛みを伴う場合があります。

アレルギー性口内炎:広い範囲がただれる


果物などのアレルギーをもつ人、金属や化学物質のアレルギーをもつ人などに起きます。アレルギーの原因となる食物としては果物が一般的ですが、ある種の野菜やチョコレート、そば、牛乳などで起きる人もいます。

口の中の広い範囲がただれたような炎症になるものが多いですが、アフタ性口内炎のように白い潰瘍ができたり水ぶくれになる場合もあります。口だけに限らず手足など体の他の部分にも炎症が起きる場合があります。

アレルギーが原因ですから、治療にはアレルギー症と同じ療法を用います。抗ヒスタミン剤の服用が一般的です。原因に心当たりがある場合でも、薬の服用に際しては医師に相談するのが安心です。

カタル性口内炎:外からの刺激や傷による炎症


入れ歯や矯正器具が当たったり下を歯で噛んでしまったりというような外的刺激や傷によってできます。赤く腫れあがり、白くただれる場合やひび割れする場合もあります。

炎症が広範囲に起きることが多く、炎症部分の境界線がはっきりしません。痛みは強くありませんが、口臭が強くなる場合があります。

ニコチン性口内炎:タバコの有害物質が長期間粘膜を刺激して起きる


白く丸い潰瘍のタイプ、白い粘膜に赤い斑点が多数できるタイプがあります。長期間の喫煙により、タバコの有害物質が口の粘膜に刺激を与え続けることによって炎症になるものと考えられています。

これが原因で癌になることがある一方、適切な治療と生活習慣の改善を行えば数週間から数カ月で完治することがほとんどです。

口内炎で舌がピリピリ痛む


痛みが出現するメカニズムは口腔内の粘膜組織が欠損し、痛みや温度を感知する知覚神経が露出する事で、飲水、飲食により神経が刺激され、疼痛を感じます。

症状としましては、主に疼痛ですが、口腔内には様々な常在菌が生息しているため化膿してしまうこともあります。

また痛みのせいで飲水量や食事量が極端に減ってしまった場合は、特に夏場やご高齢者の場合は脱水にも注意が必要です。舌がピリピリと痛むことがありますが、肉眼的にはわかりにくいですが、口腔内の粘膜と連続しており、

舌の裏やの粘膜にまで潰瘍や、炎症が広がっていることがありその場合は、食事の際に疼痛を伴います。

基本的には治療しなくても徐々に軽快しますが、3週間以上持続する場合はお近くの内科医の先生にご相談いただき、塗り薬などにて回復を早めることもできます。

また背景に基礎疾患などが潜んでいる可能性もあるので、何度も繰り返すようであれば、血液検査なども必要になる可能性もあります。

口内炎で耳が痛くなることも


耳が痛くなる理由は大きく二つ考えられます。

一つ目は「放散痛」です。外耳道は三叉神経の3番目の枝が支配しており、これは舌の奥、口腔底、歯に分布しています。

分布してる部分の炎症や痛み、扁桃炎などによってあたかも耳が痛くなることを放散痛と言います。従って痛みが耳に抜けているだけなので、実際に耳の疾患があるわけではありません。

二つ目は「中耳炎」です。口内炎の状態は口腔内でウイルスや細菌が繁殖している可能性があります。口腔内とのどはつながっており、中耳(鼓膜の内側の部屋です)とのども耳管という管でつながっています。

そのため、口腔内で感染を起こしているウイルスや細菌が中耳内で炎症を起こせば中耳炎となり耳が痛くなります。最後に「耳下腺炎」です。耳下腺は唾液を作る腺組織で耳の下に存在します。

耳下腺で作られた唾液はステノン管という管を通って口腔内に分泌されます。したがって口腔内でウイルスや細菌が繁殖すれば口腔内から耳下腺に向かってウイルスや細菌が流れ込み耳下腺炎を起こすことがあります。

これを逆行性感染と言います。中耳炎と耳下腺炎に関しては口内炎のみの治療では改善しない可能性があり、その場合は別途、抗生剤などの投与が必要になる場合もあります。

外的要因


ひとつだけの原因で起きるというよりも、体の調子が崩れているところに外的な要因が重なることで起きるケースが多いといえます。

体の外からの要因とは、以下のようなものです。

矯正器具や入れ歯、外傷


口の中に入れている矯正器具や入れ歯が合わず、舌に当たっていると、傷となりそこから細菌が入って炎症となります。歯で舌を噛んでしまった場合や怪我の傷も同様です。

口内での雑菌の繁殖


口内に雑菌が多く繁殖していると、上のような傷ができたり粘膜が乾燥したりした場合に炎症が起きやすくなります。

ウイルス感染


ヘルペスウイルス、カビ(真菌)の一種であるカンジダ菌、かぜのウイルスへの感染が原因になる場合があります。

その他


タバコの有害物質のような化学的刺激も要因のひとつです。

内的要因


体の内からの要因とは、栄養の偏りや免疫力の低下などで、以下のような場合に起きます。

ストレス


ストレスがたまるとアドレナリンの分泌が盛んになって、血圧が上昇します。また、ステロイドホルモンの分泌が増え、免疫力が低下する場合があります。

ストレスをためない生活スタイルを維持すること、自分なりのリラックス方法を見つけ実践することを心がけましょう。

疲れ、睡眠不足


肉体的な疲労は体力を奪い、体の免疫力を低下させます。

十分な休養をとり、体の活力を維持することが大切です。不規則な生活は避け、生活のリズムを守るようにしましょう。

栄養バランスの乱れ


ビタミンB2は皮膚や粘膜の成長・維持に欠かせない栄養素です。またビタミンB6は体をつくるアミノ酸代謝に深くかかわる栄養素です。

このふたつの栄養素が不足すると口内炎になりやすくなります。

日ごろから、ビタミンB2、B6 が多く含まれる以下のような食材を心がけて摂るようにしましょう。

ビタミンB2


豚レバー、牛レバー、海苔、鶏レバー、うなぎ、うずら卵、すじこ、さばの開き、納豆、鶏卵卵黄、まいたけ

ビタミンB6


にんにく、牛レバー、マグロ赤身、かつお、鶏ひき肉、いわし丸干、鮭、豚レバー、さんまの開き、生ハム、焼きあじ

また、体の抵抗力を維持するのに必要なビタミンCも不足しないよう心がけてください。

治療法

体の内外の原因が重なって引き起こされます。これらの原因を取り去ってしまえば、口内炎は治ります。

自分でできる治療法


・口内の雑菌を除くため、こまめにうがいをする、のどを湿らせて雑菌の繁殖を防ぐ

・栄養バランスに注意し、ビタミンB2、B6、Cを含む食品を取る

・睡眠、休養をしっかりとり、ストレスや疲労を取り除き体力や免疫力を維持する

こうしたことをしっかりしていれば、2週間程度で治癒します。それでも、痛みがひどい場合、早く治したい場合は、以下のような治療法を試してください。

塗り薬、貼り薬、スプレー薬


ステロイド剤入りの軟膏やシール状の貼り薬、スプレータイプなどがあり、治癒が早まります。

レーザー治療


CO2レーザーを患部に照射して炎症を除きます。短時間で完全に炎症をなくすことができます。

パッチを使った治療法


治療に使われる薬には、ビタミンや抗炎症薬の飲み薬、抗炎症薬や抗生物質の塗り薬、そしてパッチと呼ばれる貼り薬があります。

口内炎は口の中の粘膜や唇など、よく動き唾液で薬が薄まりやすい部位にできるため、塗り薬を塗ってもすぐ薬が流れて行ってしまいます。そのため小さい円形の絆創膏のようなものに有効成分をしみ込ませたパッチを貼るのです。

市販薬、処方薬ともにパッチが販売されています。パッチは傷口に食物や飲み物、歯が触れることを防いでくれ、痛みを緩和することもできます。

また薬の味がしにくく食べ物の味が分かりにくいという不快感が少ないというメリットもあります。製剤本体は体内で溶ける物質で作られており、万が一はがれて飲みこんでも心配ありません

。はがれにくくするために唾液をふき取り乾いた状態で貼りつけます。お子さんにも使えますが、製品によっては5歳以上などと年齢制限が設けられています。成分としてはステロイド含有のものと非ステロイドの製剤があります。

1日に1回から4回程度貼り換えます。パッチ剤は便利であり市販もされているため手に入れやすいですが、口内炎が多数である・一つ一つが大きい・1か月以上治らない・歯や入れ歯が当たっているなどの場合は病院受診をお勧めします。

口内炎は何科に行けばいいのですか?


口内炎は様々な原因があり、どの科に受診したほうがよいか迷う場合もあります。まず口の中を診察する科としては内科、消化器内科、耳鼻咽喉科、歯科、口腔外科が考えられます。

尖った歯や合わない入れ歯が当たった部分にできている場合、歯科・口腔外科を受診し歯科的処置を受けるのがよいでしょう。

同時に歯磨きの方法や洗口剤の使い方など、オーラルケアの方法について指導を受けるとよいでしょう。

また、痛みが乏しい口内炎が複数できていて、サイズが大きく、1か月以上治らない。同じようなできものが外陰部にもある。皮膚に赤っぽいできものがある。微熱が続いている。などの症状がある場合、免疫の異常や膠原病を疑い、内科(免疫内科、膠原病内科、リウマチ内科、血液内科など)を受診するとよいでしょう。

またステロイドなどの免疫抑制剤を常に内服していたり、抗がん剤を使用しているような場合も、それらを処方している科でまず相談するとよいと思われます。

特にこういった要因がなく、原因が思い当たらない場合は、上記の科のうちご自身が受診しやすい・通院を続けやすいクリニックを選んでまずは受診し、もし必要と判断されたら他の科に紹介を受けるのがスムーズかと思われます。

こんなときは要注意! 恐ろしい舌癌は早期発見が絶対

舌にできた口内炎が2週間以上たっても治らない場合は、耳鼻咽喉科などで診察してもらうことを強くお勧めします。命にかかわる舌癌の恐れがあるためです。

舌癌は、癌全体の中での発生率は低いのですが、初期には口内炎と似ていて軽く見過ごしてしまいがちです。

また進行が速い一方、早期に治療すれば治癒できる可能性が極めて高いので、早期発見が何より大切です。

最後に

痛くてつらい舌の口内炎。ストレスや疲れのないライフスタイル、栄養バランスのとれた食生活が何よりの予防策です。

でも、万一できてしまったときは適切な対処が必要です。とくに、2週間以上長引くような時には要注意。

病院に行って診察を受けてください。

(監修:Doctors Me 医師)