胃潰瘍は日本人に多い病気です。
ストレスが原因で起こる病気であることはよく知られていますが、症状があるのに気づかず、悪化させてしまうケースも少なくありません。
どんな症状が出るのか、症状を緩和するにはどんなことに気をつければいいのかを知っておきましょう。
さまざまな原因により胃の粘膜の保護機能が衰え、粘膜が胃酸にやられて潰瘍状になてしまう病気です。消化性潰瘍ともいいます。
ごく初期は粘膜の表面に小さなびらんができるだけですが、症状が進行すると潰瘍になり、さらに胃に穴があく(胃穿孔)こともあります。
胃の壁は粘膜などが何層にも重なっていますが、その全てを貫いて穴があき、胃の内容物が外に漏れだし腹膜炎の危険性が起こります。
粘膜が傷つく原因は、まず第一に胃酸です。胃酸は非常に強い酸性で、粘膜をも消化することができてしまいます。
そこで通常は粘膜を保護する物質が分泌されていますが、何らかの原因で減少すると胃酸が優位になると発症します。
また、胃潰瘍にはピロリ菌も関与しています。ピロリ菌は、べん毛を持った菌で特殊な毒素を出しています。
この毒素で粘膜が弱くなり、そこへ胃酸が入ってただれさせます。ピロリ菌の日本人の保有者はとても多く、50歳以上では70%以上が感染しているともいわれます。衛生環境が悪かった世代の人が経口感染したと考えられています。
胃穿孔は特定の強い薬を飲み過ぎた場合に起こりやすいと言われています。
ロキソニンなど非ステロイド系の痛み止め薬は、痛みを脳に伝達して胃粘膜を保護する役割を果たしている防御物質(プロスタグランディン)が作られるのを阻害してしまいます。
その結果、胃粘膜が弱くなり、穴があきやすくなってしまいます。こうした薬を飲むときは、粘膜を保護する薬も一緒に服用しなければなりません。
・空腹時の胃の痛み、キリキリするような痛み
・食後の胃の痛み
・胃がもたれる、ゲップがよく出る
・背中の胃の後ろあたりが痛い
・食欲が落ちる
・歯を磨いたときに気持ち悪くなる
・吐血、下血
・激しい胃の痛み
・吐き気
・発熱
・吐血、下血
胃潰瘍と似たものに十二指腸潰瘍があります。どちらも消化器官で十二指腸は胃の出口にあります。びらんや潰瘍ができる仕組みは同じですが、違いもあります。
・胃潰瘍よりも若い世代で患者が多い
・十二指腸潰瘍は空腹時に痛くなるが、食事をすると軽快する傾向がある。胃潰瘍は、食後に痛くなることが多い
胃は自律神経からの影響を大きく受ける器官です。ストレスが増えると自律神経のバランスが崩れ、粘膜保護機能が衰え胃液が増えるなど胃の中の状態が悪くなり、発症します。
コーヒーなどのカフェイン、唐辛子など辛いものは粘膜を刺激して機能を弱めます。アルコールやタバコも同じで、過度に摂取するとリスクを高めます。
遺伝的な要素も見られるようですが、病気そのものを遺伝するというよりは、なりやすい性格は体質を受け継いでいるといったほうが正しいかもしれません。
胃カメラは消化管造影検査(バリウム検査)と違い、その場で出血やポリープなどがある場合の処置ができます。
ピロリ菌に関しては検査方法も治療方法も確立しています。呼気検査や、尿検査・血液検査でピロリ菌の有無を調べ、除去薬を服用します。除去率は99%以上と高いです。
H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬などが処方されます。
固いものや消化がよくないものは胃を疲れさせるので控えます。
牛乳やネバネバ系の食べ物は弱った胃粘膜を守ってくれます。
刺激物は胃に大きな負担になるので控えましょう。アルコールも胃酸の分泌を増やしてしまいますから止めておきます。冷たいものや、酸性が強いものも避けます。
胃が疲れているので、ゆっくり食べて食べすぎないよう心がけましょう。
初期症状をしっかり自覚して、早く内科を受診し、検査で特定してもらって治療を開始することが大事です。
痛みを抑えると同時に、再発しないように日常生活を見直すことも必要です。
(監修:Doctors Me 医師)
ストレスが原因で起こる病気であることはよく知られていますが、症状があるのに気づかず、悪化させてしまうケースも少なくありません。
どんな症状が出るのか、症状を緩和するにはどんなことに気をつければいいのかを知っておきましょう。
胃潰瘍とは
胃潰瘍とは
さまざまな原因により胃の粘膜の保護機能が衰え、粘膜が胃酸にやられて潰瘍状になてしまう病気です。消化性潰瘍ともいいます。
ごく初期は粘膜の表面に小さなびらんができるだけですが、症状が進行すると潰瘍になり、さらに胃に穴があく(胃穿孔)こともあります。
胃の壁は粘膜などが何層にも重なっていますが、その全てを貫いて穴があき、胃の内容物が外に漏れだし腹膜炎の危険性が起こります。
原因
粘膜が傷つく原因は、まず第一に胃酸です。胃酸は非常に強い酸性で、粘膜をも消化することができてしまいます。
そこで通常は粘膜を保護する物質が分泌されていますが、何らかの原因で減少すると胃酸が優位になると発症します。
また、胃潰瘍にはピロリ菌も関与しています。ピロリ菌は、べん毛を持った菌で特殊な毒素を出しています。
この毒素で粘膜が弱くなり、そこへ胃酸が入ってただれさせます。ピロリ菌の日本人の保有者はとても多く、50歳以上では70%以上が感染しているともいわれます。衛生環境が悪かった世代の人が経口感染したと考えられています。
胃穿孔の原因
胃穿孔は特定の強い薬を飲み過ぎた場合に起こりやすいと言われています。
ロキソニンなど非ステロイド系の痛み止め薬は、痛みを脳に伝達して胃粘膜を保護する役割を果たしている防御物質(プロスタグランディン)が作られるのを阻害してしまいます。
その結果、胃粘膜が弱くなり、穴があきやすくなってしまいます。こうした薬を飲むときは、粘膜を保護する薬も一緒に服用しなければなりません。
初期症状
胃潰瘍の初期症状
・空腹時の胃の痛み、キリキリするような痛み
・食後の胃の痛み
・胃がもたれる、ゲップがよく出る
・背中の胃の後ろあたりが痛い
・食欲が落ちる
・歯を磨いたときに気持ち悪くなる
・吐血、下血
胃穿孔の症状
・激しい胃の痛み
・吐き気
・発熱
・吐血、下血
十二指腸潰瘍との違い
胃潰瘍と似たものに十二指腸潰瘍があります。どちらも消化器官で十二指腸は胃の出口にあります。びらんや潰瘍ができる仕組みは同じですが、違いもあります。
・胃潰瘍よりも若い世代で患者が多い
・十二指腸潰瘍は空腹時に痛くなるが、食事をすると軽快する傾向がある。胃潰瘍は、食後に痛くなることが多い
原因、かかりやすい人
ストレスが多い人
胃は自律神経からの影響を大きく受ける器官です。ストレスが増えると自律神経のバランスが崩れ、粘膜保護機能が衰え胃液が増えるなど胃の中の状態が悪くなり、発症します。
刺激物の好きな人、過度の飲酒・喫煙
コーヒーなどのカフェイン、唐辛子など辛いものは粘膜を刺激して機能を弱めます。アルコールやタバコも同じで、過度に摂取するとリスクを高めます。
遺伝
遺伝的な要素も見られるようですが、病気そのものを遺伝するというよりは、なりやすい性格は体質を受け継いでいるといったほうが正しいかもしれません。
受けるべき検査・治療
内視鏡検査(胃カメラ)
胃カメラは消化管造影検査(バリウム検査)と違い、その場で出血やポリープなどがある場合の処置ができます。
ピロリ菌検査・除菌治療
ピロリ菌に関しては検査方法も治療方法も確立しています。呼気検査や、尿検査・血液検査でピロリ菌の有無を調べ、除去薬を服用します。除去率は99%以上と高いです。
胃酸分泌抑制薬の内服
H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬などが処方されます。
症状があるときの食事
柔らかく消化がよいもの
固いものや消化がよくないものは胃を疲れさせるので控えます。
胃を守ってくれるもの
牛乳やネバネバ系の食べ物は弱った胃粘膜を守ってくれます。
刺激が少ないもの
刺激物は胃に大きな負担になるので控えましょう。アルコールも胃酸の分泌を増やしてしまいますから止めておきます。冷たいものや、酸性が強いものも避けます。
食べ過ぎない
胃が疲れているので、ゆっくり食べて食べすぎないよう心がけましょう。
心身を休めて症状を改善しよう
胃潰瘍は進行すると痛みがどんどんひどくなって、大変つらい病気です。初期症状をしっかり自覚して、早く内科を受診し、検査で特定してもらって治療を開始することが大事です。
痛みを抑えると同時に、再発しないように日常生活を見直すことも必要です。
(監修:Doctors Me 医師)