足裏と健康の関係


血流と関わりが深い部位


足の裏は心臓から最も遠い場所であるため、血行の問題が生じると影響が出やすい部位です。

また、足の感覚を脳に伝える神経は、長さが身長とほぼ同じだけありますので、神経に栄養を送る血流に問題があると、しびれや感覚の低下といった問題が生じやすいと言えます。

高温多湿で皮膚病になりやすい


普段は靴下や靴に包まれており、じっくり見て状態を確認するという機会は少ないものです。靴の中は高温多湿で風通しが悪く、細菌やカビが発生しやすく、皮膚の病気やにおいにつながります。

左右差や癖がわかる


足の裏の皮膚の状態や靴の減り方を観察すると、歩き方のくせや左右差を推測することができます。

ツボが集中している


東洋医学的には足の裏には多くのツボ(経穴)が集中しており、足裏を押して痛みがある部位から、問題のある臓器を推測することができるとされています。

足の裏の疾患


白癬菌感染(水虫)


カビの一種が皮膚に付着し、感染を起こした状態です。

足の指の股がジュクジュクするというタイプだけでなく、かかとなどの皮膚が硬くなりひび割れる「角化型」や水ぶくれやできる「小水疱型」は、かゆみに乏しく、感染していても気づかずに周囲の人にうつしてしまうことがあります。

胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ)


足の裏の皮膚が体重による負荷や靴との接触によって厚くなり変色するもので、たこには芯がなく、うおのめには芯があります。

立ち仕事の方、片方の足に体重をかけるなどの癖がある方、足に合っていない靴をはいている方に多いとされています。

血行不良・感覚の低下・足壊疽などの原因


血管が細くなり血流が低下する病気は足に影響を及ぼしやすく、特に糖尿病で視力低下があると異常に気付きにくいとされています。

小さな傷から感染を起こしたが感覚が低下しているため気づかず、血行不良のために治りが悪く、歩けなくなるほど悪化して足壊疽になってから病院に行ったが、なすすべなく、感染が拡大するのを防ぐために足を切断するということになってしまう場合もあります。

外反母趾やハンマートウ


つま先付近に体重がかかるようなハイヒールを履くことによって親指の付け根が外に飛び出すように変形するのが外反母趾です。

ハンマートウは靴の中で指が折れ曲がった状態が続くことで、指がその形で固定してしまった状態です。痛みや歩行不安定の原因になり、背中や腰にまで負担がかかります。

足底腱(けん)膜炎


足の骨をつなぎ止めている膜のようなものに炎症や断裂が起こり、痛みが出る状態で、スポーツ選手や中高年に多い病気です。

モートン病


つま先立ちやハイヒール使用により、神経が骨や靭帯で圧迫され、足の中指と薬指の間がしびれたり痛みが出る状態です。

かかとの柔らかさでわかる健康状態


かかとは皮膚の表面である角質層の厚みが他の皮膚より多く、その入れ替わりには3カ月程度を要します。いらなくなった角質層が残り続けて乾燥することで、かさつき・ひび割れ・変色が起こります。

保湿を行い、痛みの原因になるようなひび割れは削り取ることで改善が期待できますが、削りすぎると感染の原因になります。

足裏の筋肉の鍛え方


■ つま先立ちをする。

■ タオルを踏んで立ち、足の指を曲げてつま先を引き寄せ、タオルにしわを寄せる、たぐり寄せるような動きをする。

■ 足の指でグーチョキパーをする。

足裏に負担をかけるNG行動


足に負担をかけるハイヒール


高いハイヒールやつま先の狭い靴を履くと、体重がつま先にかかり、外反母趾やハンマートウになりやすくなります。

雑菌が繁殖しやすい環境


革靴やブーツなど蒸れやすい靴を長時間履いたり、入浴後足を乾かさずに靴下をはいたりすると、白癬菌や雑菌が繁殖しやすくなります。

蒸れやすい靴下


靴下は吸湿性のよいものを選びましょう。

不衛生な共用物


入浴後は足を乾燥させ、共用のバスマットやスリッパは定期的に交換したり乾燥させるようにしましょう。

足裏を健康に保つ効果的な方法


特に糖尿病や免疫力が低下するような薬を飲んでいる方は、定期的に足の状態(皮膚の変色や感覚の低下がないか)を確認し、異常を確認したら皮膚科やフットケア外来で相談するようにします。

深爪をきっかけに細菌感染を起こすことがあるので、爪の両脇は切り過ぎず、四角く残すようにしましょう。

最後に医師から一言


人間は二足歩行することで全体重が足にかかっており、走ったりつま先立ちをすればその負担は何倍にもなります。過酷な環境に置かれながらいつも我々を支えてくれている足の裏に感謝し、定期的に状態を観察するようにしましょう。

(監修:Doctors Me 医師)