賞味期限切れなどで、どうしても処分をしなければならない食材が出てしまうと、もったいないですよね。

 

一人暮らしだと、食品ロスの経験をした方は多いのではないでしょうか?

 

今回は日本が抱える食品ロス問題や、ご家庭で食品ロスを出さない対策や残り物アレンジレシピを、栄養士の横川先生に教えていただきました。

 

目次

 

 

食品ロスの現状

食品ロス 

本来はまだ食べられるのに捨てられる食品のことを「食品ロス」と言い、日本では、年間500〜800万トンと試算しています。

 

そのうち約半分に当たる年間約200万~400万トンは家庭から発生しており、近年、消費者の間で注目されています。

 

(参照:消費者省)

 

 

「ろすのん」をご存知ですか?

農林水産省

食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)のロゴマークのことを指します。 

 

しかし、注目されてきたものまだまだ企業、消費者での認知も乏しい課題も。そのため、この運動を全国に広げるために食品ロス削減に向けた国民運動キャラクターの「ろすのん」がいます。

 

「食品ロスをなくす(non)」という意味から命名、語尾に「のん」がつく口ぐせが特徴的です。 

 

(参照:農林水産省)

 

 

日本が抱える食品ロス問題

ゴミ処分場

 

年間約1,700万トンの食品廃棄物の発生

食品ロスは処理や再生にあたり、CO2の量を増やし、地球の温暖化を促すほか、私たちの住む場所を汚染するなど、様々な弊害をもたらします。

 

最終処分場問題

ゴミを焼却したあとの灰は、最終処分場へ。

 

しかし、各県の最終処分場の容量にも限度があり、現在使われている処分場の容量が不足。今後、最終処分場を他にも作らないといけなくなる可能性があります。

 

エネルギーや資源の無駄

水分が多く含まれた生ごみの焼却は、燃えにくいため焼却炉の発電効率が下がる原因に。

 

また、食品の製造や流通に関わった資源の無駄になります。

 

食料自給率の課題

多くを輸入に頼っている日本の食料自給率は39%と先進国中最低水準。世界の食糧事情に左右されない国になるには食料自給率をアップさせることが課題となっています。

 

食品ロスを少なくすることは自国や他国の食材を大切にするだけでなく、食料自給率アップにも繋がります。

 

モラルの在り方

日本に誇れる言葉に「もったいない」という言葉があります。命をつないでくれる食材を、残さず大切に食べることで、もったいないと思う気持ちが育まれ、他者への思いやりの心を育てることにも繋がります。

 

 

ご家庭の食品ロスで多い食材

野菜のラップ保存

 

平成26年度の食品ロス統計調査・世帯調査による食品ロス量割合は、以下になっております。

 

食品ロス量割合

・野菜類:47.7%

・果実類:17.8%

・調理加工食品:10.2%

・穀類:4.3%

・魚介類:3.8%

 

原因

・鮮度の低下

・腐敗

・カビの発生

・消費期限、賞味期限が過ぎた

など

 

(参照:農林水産省)

 

 

ご家庭の食品ロスをなくす効果的な対策

冷蔵庫の食材チェック

 

冷蔵庫内の食品ストックを確認してから買い物へ

買い物へ出かける前に食品ストックのチェックや、買物にはメモを持参すると良いでしょう。余計な食材の買い過ぎを予防し、節約にも繋がります。

 

痛みやすい食材は早めに使い切る

野菜や魚など、傷みやすく鮮度が大切な食材は買い過ぎに気をつけると共に、特売で売られていたとしても「買ってすぐに調理ができるか?」、あくまで予定を立ててから買うと良いでしょう。

 

賞味期限と消費期限の違いを理解する

■ 消費期限:安全に食べられる期限

■ 賞味期限:おいしく食べられることを保証する期限

 

消費期限が過ぎた食材は安全性を欠く場合が多いため、捨てる決断が必要ですが、賞味期限を過ぎたからと言って「捨てなくちゃ!」ではありません。色やにおい、味などをご自身でチェックしてから捨てるようにしましょう。

 

※消費・賞味期限であっても一度開封したものは、早めに食べるようにしましょう。

 

食材は丸ごと食べきるようにする

捨てていた野菜の茎や皮などもきんぴらやチャーハンの具などに。おかずの1品に変身させることで生ゴミを減らすことができます。

 

また丸ごと食べるなら、よく洗うことはもちろんのこと、無農薬のものを利用すると良いでしょう。

 

冷凍保存を活用する

買った食材が使いきれない、料理が余ることは、日常生活でどうしても出てきてしまいます。

 

その場合、小分けパックやジッパー袋などを利用して冷凍保存することが1つの手。その際は日付と名前などを書いておくとわかりやすいです。

 

※保存したものは早めに食べきるようにしましょう。

 

生ごみの水を切ってからゴミ箱へ

80%が水分と言われている生ごみ。水分を切ってから捨てるだけでも焼却に必要なエネルギーの削減に繋がります。

 

残り物をアレンジする

残ったものを別の料理に足すことで最後まで食べきるように工夫する。

 

 

食品ロス撲滅!ご家庭の残り物アレンジレシピ

きのことチキンのグラタン

 

余ったお味噌汁をリメイク!マカロニグラタン 

■ 材料(1人分)

・お味噌汁:お椀1杯分

 (※今回はさつまいもと玉ねぎの具材を想定)

・鶏肉:40g

・しめじ:1/4パック

・マカロニ:30g

・バター:大さじ1

・オリーブオイル:小さじ2

・塩、こしょう:各少々

・小麦粉:大さじ3

・牛乳:100cc

・パン粉:適量

・とろけるチーズ:1枚

・乾燥バジル:少々

 

■ 作り方 

1. オーブンを200℃に予熱し、マカロニはパッケージに書かれた時間通り茹でておく。

2. しめじは小房を切り、バラバラにほぐしておく。また鶏肉は、食べやすい大きさにカットする。

3. フライパンにオリーブオイルを熱し2を炒め、塩、こしょうで味を整えておく。

4. 別のフライパンにバターを熱し、小麦粉を入れ、ダマにならないように混ぜる。

5. 3のフライパンに牛乳を入れ、とろみがつくまで混ぜる。

6. とろみがついてきたら味噌汁、鶏肉、マカロニ、しめじを入れ、味噌汁の水分を少しとばし、塩、こしょうをして味を整える。 

7. 耐熱皿に6を入れ、上にとろけるチーズ、パン粉をトッピングし、オーブンで10分ほど焦げ目がつくまで焼く

8. 最後に乾燥バジルを散らしたら出来上がり。 

 

■ ポイント 

小麦粉はふるいにかけ、3でダマにならないようにバターと小麦粉を丁寧に混ぜると良いでしょう。

また今回は、さつまいもと玉ねぎのお味噌汁で行いましたが、お好きなお味噌汁の具材で試してみて下さいね。 

 

 

最後に横川先生から一言

食材を冷凍保存

 

残り物を残さないというと、家族の余ったものをしっかり食べ過ぎて肥満になる方もいるため、「余計な食材は買い過ぎない・料理を作り過ぎない・万が一作り過ぎた場合は冷凍保存を活用する」ということが個人的には大切だと考えています。

 

1人1人が食材を大切にできると良いですね。

プロフィール

監修:栄養士 横川 仁美
食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表。 お味噌汁レシピ研究家×薬機法に強いセールスライター。 管理栄養士を取得後、保健指導や重症化予防、ダイエットサポート、電話相談のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方の食のアドバイスに携わる。現在はコラム執筆・監修、レシピ作成、オンラインでのダイエットカウンセリングを中心に活動。 薬機法・景品表示法・健康増進法の知識も生かしながらさまざまなライティング活動を行っている