お子さんが夜中に急に起きて歩き回ったり叫んだりしたら、夢遊病や夜驚症の疑いがあるかもしれません。
睡眠中の深い睡眠と浅い睡眠の間に異常行動が現れるらしいのですが、どのような原因が考えられるのでしょうか?
今回は、子どもの夢遊病と夜驚症の原因・症状・対処法を、医師に詳しく解説していただきました。
子どもの睡眠時遊行症(夢遊病)について
原因
人間は深い睡眠と浅い睡眠を繰り返していると言われていますが、以下のような深い睡眠から浅い睡眠に移動するときや、深い睡眠の最中に異常な行動が起こりやすくなると言われています。
■ 深い睡眠を妨げるような刺激
・カフェイン
・音や光
など
■ 睡眠が過剰に深くなるような状況
・睡眠不足の後に眠った時
・運動のしすぎなどで疲れ切って眠った時
など
症状
眠っていた人が、いきなり起き上がったり、歩き回ったりするが、うつろな表情で意思疎通が難しく、目が覚めてからは異常行動の記憶がないというような症状です。異常な行動は数分から30分ほど続くと言われています。
「アルプスの少女ハイジ」で、都会の生活に馴染めないハイジが夜中に屋敷を動き回り、幽霊と間違われるというシーンが描かれています。
発症年齢
小児期後期〜青年期に多いと言われています。
治療法
薬による治療は特にこれを使用するといった決まったものはなく、ベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬を使用する場合もあります。
対処法
声をかけたりゆさぶったりしても覚醒させることは難しいとされています。階段から落ちたりつまづいたりしないように誘導し、見守っていれば、30分程で治まると考えられます。
またこういった現象は思春期が終わるころには自然に治まると言われています。
予防対策
ベッドから転げ落ちることもあるので、布団や低いベッドを使用しましょう。認知症患者の徘徊予防のために使用されている、体重をかけるとブザーが鳴るマットをベッドの横に置いておくのも良いかもしれません。
ストレスやいつもと変わった行動がきっかけとなる場合もあるので、旅行などで無理なスケジュールを組まないように注意したり、運動会などいつもと違うことがあった日には注意して見守るようにしましょう。
子どもの睡眠時驚愕症(夜驚症)について
原因
深い睡眠から浅い睡眠に移行する過程で起こると言われており、子どもの場合、悪夢との関係は少ないと言われています。
症状
眠っている人がいきなり叫ぶ・泣き出す・手足を振り回すなど恐怖や興奮を示す症状です。朝になって、昨夜のことを覚えているかと本人に尋ねても覚えていません。
発症年齢
小学校低学年に多く、成長と共に自然になくなっていくと言われています。
治療法
あまりにも頻繁で、日中の活動ができない場合はベンゾジアゼピン系と言われる睡眠薬を使用する場合があります。
予防対策
親が安心させることが必要と言われています。
大人と子どもの夢遊病・夜驚症の違い
大人には夢遊病は少ないと言われています。大人にも夜驚症はありますが、大人の場合、精神障害やアルコール依存症との関係がある場合もあるとされています。
最後に医師から一言
自然と改善していくと言われても、親はいつまた起こるかと不安であり、夜中にたたき起こされるため疲れが取れず、日中の活動に差し支えます。
また、振り回した手が横に寝ていた親やきょうだいに当たってケガをしたり、ベッドや階段から転落するといった危険もあります。こういった睡眠中の異常行動でお悩みの場合は、小児科か、児童精神科医にご相談ください。