近視で悩んでいる人が、メガネやコンタクトレンズあるいは手術もせず、近視が軽くなり日中裸眼で過ごせるようになる治療があります。それが可逆性近視矯正法である「オルソケラトロジー」です。
今回は、まだ聞きなれない人も多いオルソケラトロジーについて眼科医の先生に解説していただきました。
目次
聞いたことない視力矯正法!オルソケラトロジーとは
夜間寝ている間に特殊なハードコンタクトレンズを装用することにより、角膜の中央部を扁平化させて近視を一時的に軽減させます。
日中は眼鏡やコンタクトレンズがなくとも裸眼視力で見えやすくなる近視矯正法です。ただし、治療の対象となるのは中程度までの近視や軽度の乱視の方に限ります。
オルソケラトロジーとレーシック手術はどう違う?
レーシック手術は、角膜にレーザーを照射することにより角膜の曲率を変化させて近視や乱視を軽くします。
一方、オルソケラトロジーはコンタクトレンズで角膜の形状を一時的に変化させることにより近視を軽くするものです。レーシック手術は元に戻せませんが、オルソケラトロジーはコンタクトレンズを中止することによりもとに戻ります。
基本的にレーシック手術では近視の度数は術後変化しません(術後、また近視化することはあります)。オルソケラトロジーは数日の間、夜間就寝中のコンタクトレンズの使用を中止すれば裸眼視力はまた元の近視に戻ります。
治療期間は?どの程度視力改善するの?
就寝中のコンタクトレンズ着用を継続している間は裸眼視力が上がりますが、コンタクトレンズの使用を中止すれば角膜がまた元の形状に戻り、視力も戻ります。
そのため、オルソケラトロジーで裸眼視力を改善したい人はコンタクトレンズを夜間使用し続ける必要があります。
また、どのくらい裸眼視力が改善するかは個人差があり、裸眼で過ごすことができるレベルの0.7~1.2程度の視力まで必ず回復するとは限りません。
車の運転や作業で視力がきちんと見える必要があるなど、一定の視力が必要な方はオルソケラトロジー治療法の特徴をよく理解した上で主治医と相談するといいでしょう。
そのほか夜間の視力低下もみられることもありますので夜間は運転がしにくくなる可能性もあります。
オルソケラトロジーはどこで受けられる?
日本眼科学会認定の眼科専門医が日本眼科学会の指定するオルソケラトロジーレンズ処方講習会、および製造・輸入販売業者が実施する導入時講習会の両者を受講し証明を受けた場合処方できます。
オルソケラトロジーの経験豊富な眼科医を選ぶとよいでしょう。
オルソケラトロジーを受ける上での注意点
夜間寝ている間にコンタクトを着用すること自体、角膜に大きな負担をかけます。
オルソケラトロジーは正常な角膜に変化を与える治療であるため、将来目にどのような影響が出るのかについてまだはっきりわかっていない部分もあります。
未成年者、特に12歳未満のお子さんに対しては慎重に検討されることをおすすめします。
また、コンタクトレンズのケアを怠ると角膜感染症などの合併症を引き起こすことがあります。
いずれにせよ、治療中は医師の指示に従い、何か異常があればすぐに診察を受けることが大切です。
まとめ
オルソケラトロジーは日中、メガネやコンタクトレンズなしで生活でき、スポーツをされる方などに便利な近視矯正法です。
一方で、きちんとコンタクトレンズのケアをしなかったり 異常があるのにそのまま使用し続けると目のトラブルを引き起こす危険があります。
必ず定期的に眼科専門医の診察を受け、感染症などの合併症に注意しながら使用しましょう。
参考サイト:
http://www.clgakkai.jp/general/guideline.html