精巣腫瘍の症状

精巣腫瘍の主な症状は、二つある精巣の片側に生じる腫れと硬さの変化です。ほとんどの場合において痛みを感じることや発熱を伴うことがなく、それゆえに症状が進行して精巣がある程度腫れてきてからでないと腫瘍が生じたことに気付かないケースが多くなっています。その他には下腹部や肛門に鈍痛を感じたり、精巣を包む陰嚢に鈍痛や違和感を感じることもあります。
  
他の部位への転移をきたしやすいという特徴から、当該部位で生じる痛みや出血、発熱などによって精密な検査を経て発見されることがあります。転移をした部位によって現れる症状は異なり、先述のほかにしこりが見られたり、ホルモン分泌に異常をきたして男性にもかかわらず、胸が膨らんできたりすることも見受けられます。

精巣腫瘍の原因

精巣腫瘍を生じる原因はまだはっきりと解明されていません。先天的要因によって精巣が陰嚢内へと下降せずに鼠蹊部や腹腔内に留まっている停留精巣や染色体異常などの遺伝によるものなど様々な要因が関与しているものと考えられています。また胎児期における母体へのホルモン剤投与や母体から分泌される女性ホルモンの一種であるエストロゲンの過剰曝露なども発生原因として考えられています。
  
停留精巣であった場合に発生するリスクは、通常の発生リスクと比較して倍以上のものであることが知られています。また精巣腫瘍に罹患した患者はもう一方の精巣に腫瘍を生じることがあり、この場合におけるリスクは自然に生じる場合のリスクと比較するとかなり高いものとなっていることも知られています。

精巣腫瘍の治療法

普通に生活をしていて精巣腫瘍そのものの発生を予防する対策や措置はなく、早期発見が大切になります。
精巣腫瘍の既往歴がある方については、腫瘍が生じたものの化学療法によって治癒した精巣及びもう一方、あるいは外科的手術によって摘出されなかったもう一方の精巣での発生を抑制するために放射線照射を行うことがあります。
  
治療が修了した後であっても経過観察が行われます。超音波検査、CTスキャン、MRIなどの画像検査や腫瘍マーカーによる検査を一定期間以上にわたって定期的に継続します。この経過観察を続けることによって発生側あるいはもう一方の側での腫瘍の発生を早期に捉えることができます。