肘部管症候群の症状

何かの拍子に肘をぶつけて、指先がしびれた経験はあるのではないでしょうか。これは尺骨神経が刺激されたことにより起こる現象で、刺激が持続した状態が肘部管症候群です。症状は麻痺の進行により異なりますが、初期では小指と薬指、手のひらの小指側(尺側)にしびれが現れます。麻痺が進行するに従い手の筋肉がやせ、小指と薬指を伸ばすことが難しくなり鉤指が現れます。
  
筋力が低下すれば、指を開いたり閉じたりする運動が困難になり、指をうまく伸ばし合わせることができなくなります。洗顔時に指から水がもれたり、箸をうまく使用できなくなることもあるため、早めに医師の診断を受けることが重要です。

肘部管症候群の原因

肘部管症候群の原因は、肘関節の後ろ側にある尺骨神経が慢性的に圧迫されることによりしびれや知覚障害が現れます。
  
圧迫の原因として考えられるのは、靭帯の肥厚、ガングリオン嚢腫、骨が隆起した骨棘などです。また、骨折の後遺症で肘が変形したり、スポーツ選手や職人などが肘関節を酷使したりすることでも発症します。
  
しかし、特にこのような原因がない場合でも発症するケースは少なくありません。軟部腫瘍などの病気が原因で発症することが多いため注意が必要です。肘関節の内側を叩いて小指と薬指に電気が走るような痛みを感じるようであれば、肘部管症候群の疑いがあります。

肘部管症候群の治療法

頬づえをつくような姿勢は、尺骨神経が引き伸ばされ、また、圧迫もされてしまいます。睡眠中にしびれが現れる場合は、マットレスを交換し、肘を伸ばして寝るようにするのが勧められます。睡眠中、肘が極端に曲がらないよう添え木を当てるなど、肘に負担がかからないように心がけることも大切です。
  
肘部管症候群が疑われる場合は、我慢せず、症状があまり進行しないうちに医師の診断を受ける必要があります。筋肉がやせ出す前に手術を受けると、予後は比較的良好です。