慢性膵炎の症状

初期の慢性膵炎では主に、上腹部痛や腰背部痛などが症状としてあげられます。その他の症状として、吐き気・嘔吐、腹部膨満感、腹部重圧感、食欲不振、全身倦怠感などがあります。
多くの場合、強い腹痛を伴います。暴飲暴食、脂肪の多い食事やアルコール摂取が引き金になることが多く、食後しばらくしてから疼痛が生じるのが特徴です。
慢性膵炎が進行し、破壊が繰り返され萎縮が高度になると腹痛は軽減もしくは消失することが多いです。
後期になると消化酵素の分泌が低下して消化吸収障害を引き起こし、体重減少、脂肪便、下痢などの症状が出てきます。
また、インスリンの分泌が低下して、糖尿病の症状が出ることもあります。

慢性膵炎の原因

慢性膵炎の原因は、習慣的な多量の飲酒によるものが全体の3分の2を占めています。特に男性では、慢性的にアルコールを摂取している患者の割合は75%を超えています。
慢性膵炎と飲酒との関係は確実ですが、一方で、大量飲酒者の1~2%しか発症しないことから、飲酒だけでなく、環境や体質(遺伝)などの素因が発病に関係していると考えられています。
飲酒以外では、膵損傷、胆石、高脂血症などが原因となる場合もまれにありますが、まったく原因がわからないものも全体の20%を占めています。女性においては、約50%の患者が原因が特定できていません。
最近では、喫煙が発症・進行に深く関わっていることもわかってきました。

慢性膵炎の治療法

慢性膵炎の原因はよくわかっていませんが、飲酒や喫煙と深い関わりがあることはわかっています。
したがって、慢性膵炎の予防には飲酒量を減らしたり禁煙をしたりすることはたいへん有効です。
慢性膵炎の患者には、急性膵炎と同様の状態になる「急性憎悪」を防ぐために、禁酒、禁煙、脂肪の摂取制限などの措置が取られます。
ストレスも悪影響を及ぼすので、ストレスや不安の解消に努め、心身の安静を保つことも重要な要素です。